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アベノミクスの成長戦略に潜むアベノリスク(4)
経済
2013年6月13日 07:00

<アベノリスクは参院選後に表面化?>
 1995年1月17日に阪神淡路大震災が発生した時、内閣を率いていたのは社会党委員長の村山富市総理大臣であった。自民党・社会党・新党さきがけの3党の連立によって、1947年の片山内閣以来47年ぶりに社会党委員長が首相となった。1955年の自民党誕生以降から自民党籍になったことがない初めての首相である。

 民主党は2009年(平成9年8月30日)の衆議議員選挙で3分の2に迫る308議席を獲得し、自民党に圧勝。総選挙の結果を受けて9月9日に民主党、社会民主党(後に離脱)、国民新党3党の連立により鳩山内閣が誕生。民主党は参議院において過半数の議席を有していないため、安定した政権運営のためには2党との連立が欠かせなかったことによる。

 鳩山内閣は僅か9カ月の短命に終わりその後を受けて総理大臣に就任したのは菅直人であった。菅内閣を直撃したのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災と原発事故であった。

 注目すべきはこの二つの大震災が日本列島を襲った時、日本の総理大臣はいずれも原発を推進して来た自民党出
-身者でないことである。

kokkai.jpg また村山政権誕生以降、衆参の「ねじれ国会」によって、思い切った政権運営が出来ない状況に頭を悩ます現象が生まれた。小泉内閣の後に発足した第1次安倍内閣にしても公明党との連立であったし、昨年12月の衆議院総選挙で自民党が大勝し第2次安倍内閣が誕生したが、参議院は公明党の議席を加えても過半数に達しない危うい国会運営が続いている。安倍内閣は来月21日に予定されている参議院選挙で、自民党単独による過半数の議席獲得か、悪くとも与党を組む公明党とで、何が何でも過半数を獲得することが大命題である。

 そのために一の矢、二の矢、三の矢と景気浮揚策を次々と打ち出し、「アベノミクス」の名のもとに、あたかもスーパー顔負けの安売り広告のオンパレードの様相を呈している。

 一方今まで小学校・中学校で、学級委員長や生徒会長などを経験したことのない生徒が突然クラスのトップに任命されたのと同様、日本の総理大臣に任命された民主党党首の鳩山、菅、野田にとってあまりにも荷が重く、第1次安倍内閣と同様に学級は崩壊する運命にあった。

 第2次安倍内閣はその反省の上に立って、来月21日予定の参議院選挙で過半数を確保し、祖父の岸信介内閣や、大叔父の佐藤栄作内閣を凌駕する長期安倍政権樹立を目指しているものと見られている。

 いずれにせよ、参議院選挙で自民党が過半数を得ても、今まで掲げた「アベノミクス」を実施していかなくてはならないし、今からは掲げた政策についての検証が始まることになる。国論を二分する憲法96条の改正問題やTPP交渉など、アベノミクスに潜むアベノリスクが顕在化することになっても、参議院で過半数を制しておけば当面大きな国政選挙はなく政権は安泰である。

 今まで敵対した民主党政権とは違い、蜜月となった官僚が立案した政策を網羅した「アベノミクス」は公務員にとっても望ましいものとなっており、アベノミクスに潜む「アベノリスク」は、参議院選挙後に「消費税増税」、「インフレによる実質所得の減少」、「弱者切り捨て」などのリスクが、一の矢、二の矢、三の矢と飛んで来ることが予想され、国民にとって参議院選挙での自民党の大勝は大きな苦しみの始まりとなるかもしれない。

0612_nikkei.jpg

(了)
【北山 譲】

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