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コダマの核心

職人100人の神の手~(株)曙設備工業所(後)
コダマの核心
2013年9月 9日 11:13

<3月から値上げが浸透し出した>
 『100人の神の手』によって、(株)曙設備工業所の工事現場は消化されてきた。おかげで、会社を切り盛りできてきたのだ。まさしく"守護神"の存在である。
 2008年のリーマン・ショック以降、同社も仕事の量を減らしてきた。仮に同業者他社であれば、100人中30人以上減らすことを余儀なくされていたであろう。しかし、同社の場合は10%減程度で済ませていた。必死で『神の手』の仕事場の確保に奔走してきたからである。『神の手』が必要とされるこの時期、今までの同社の姿勢に恩を感じて、職方の親方たちが人材供給をしてくれている。

 同社の場合、分譲マンションの物件に注力してきた。この空調・設備工事に対してリーマン・ショック以降、大手業者が敬遠するようになった。そこで、曙設備工業所の存在がクローズアップされるようになったのである。地元デベばかりでなく、全国大手マンション業者からも受注が来るようになった。現場戸数が200戸を超えることも珍しくなくなったのだ。消化戸数の落ち込みを極力食い止められたことで、上記の職人減らしを最小限にとどめることが可能になった。
 『100人の神の手』の価格も、市場の原理に左右される。東日本大震災の復興工事の本格化、公共事業の復活、消費税導入前のマンションブーム、アベノミクス経済政策の伸長で、いよいよ『手が足りない』市場原理が働き出した。野田社長によると、「今年3月からの新規契約から、職人の技術代が30%増えるようになった」そうだ。そして9月からは、着工される工事は、値上げ分を含めたコストアップになる。ゼネコンもマンション業者も、原価をどう価格に転嫁できるか、腕の見せ所になる。

<アベノミクス政策で神の手が報われるのを望む>
noda.jpg 「完工高30億円を超える仕事の煩雑さを凌ぐには、『100人の神の手』を超える必要が出てきたのではないか」という質問を野田社長に投げかけてみた。すると、(1)今年になって職方の親父たちの表情が明るくなってきた。原因は「息子が後を継いでも良い」と意志表明したそうだ。(2)職方として働いていた中堅が、独立する傾向がチラホラ見え出した。彼らが新しい職人たちを集めているという。ということで「職人の確保には、懸念することはない」そうだ。

 ただ、同社長は風が吹いている間に、業界の体質改善を推進する必要性を強調する。「人間の生活で一番大切な住居のインフラを担う給排水・空調の職人たちが、年収600万円レベルの生活保証ができないようでは情けない事態だ。視野を広げて言えば、建設関連の技能職人全体が600万円レベルの収入を得られるようなシステムを構築すべきだ。彼らの収入が安定すれば、必ず金が廻るようになる。消費も増える。子どもづくりにもはげんで、人口減阻止の一役を担うようになるはずだ」。指摘することは、すべて正論である。

 (1)まずは業界の自力で、給排水・空調の技術者を養成する学校の設立が望まれている。(2)アベノミクスの経済政策の浸透が、建設職人たちの収入向上に連動することを願う。業界全体で願うばかりでなく、持続させるように行動をする。改革することは諸々あるが、まずは「『100人の神の手』に体現される層の将来の稼ぎの見通しがないと、曙設備工業所も日本の未来もない」と野田社長は確信している。

(了)
【児玉 直】

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