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SIDSとALTEの闇(4)~KC中の事故は親の責任? 大阪地裁判決(2)
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2013年9月24日 10:52

 「授乳は、母と児の生理的な行為であり、医療関係者による指導や監督がなければできないような性質のものではない上、授乳の際に、一般に、乳房による児の鼻腔の圧迫による窒息の危険があることは、医療関係者でなくても容易に理解することができる。(判決文より引用)

<問われない医療の責任>
 ALTE(乳幼児突発性危急事態)とされ、脳に重い後遺障害を抱えた女児とその両親が原告となって、被告・病院側の責任を求めた大阪地裁の裁判は、「事故は親の責任」ともとれる非情な判決で締めくくられた。しかし、女児の異常発覚に至る経緯を見れば、被告・病院側が女児に対して行なった「ママカンガルーケア」(正常に生まれた児に行なわれたSTS:早期母子接触)は、かねてから指摘されているリスクを軽んじた内容。女児への継続的観察が行なわれていなかった状況で異常が発生したのは確かである。

tenteki_1.jpg 出産直後の正常に生まれた児に対するカンガルーケア(STS)に警鐘を鳴らす(本シリーズ第2回参照)、久保田産婦人科麻酔科医院の院長・久保田史郎医師は、今回の裁判のケースについて、「産科特有の話ではなく、一般的な医療における基本的管理を無視したところに、医療側の責任問題がある」と分析。同氏は『麻酔医としての立場』から、病院側が出産直後の女児に行なった保育管理法の間違いを指摘する。間違いとは、(1)出生直後の女児を分娩台の母親の胸の上で窒息の危険性が指摘されている「うつ伏せ寝」の状態で管理したこと、さらに(2)保温を目的としたタオル・毛布などで児を被い、児の観察ができなくなったことが、危急事態(窒息)の発覚を遅らせ、重度の低酸素血症を招き、重い障害を残すに至る原因を作ったということだ。

 久保田医師は、「母親の胎内(約38℃)から分娩室(約25℃)へと急激な環境温度の変化にさらされた赤ちゃんの出生直後の管理は、まず体温管理(保温)と気道確保を最優先すべきだ。出生直後からカンガルーケア(STS)をするのは極めて危険」と断じた。その理由について、新生児の管理を術後患者の管理にたとえ、体温管理・呼吸管理の重要性を以下のように解説した。

 「出生直後の赤ちゃんの管理は、寒い手術場で体温が下がった術後患者と同じケアが必要だ。全身麻酔で手術をした術後患者の体温は低くなっている場合がほとんど。麻酔医では、術後合併症を防ぐためにリカバリールーム(回復室)で体温管理(保温)を行ない、バイタルサイン(体温・呼吸・循環)が安定、意識が戻ってから一般病棟に帰すのが常識である。大人でも、体温が下がったまま病棟に帰すと術後合併症の頻度が高くなると云う。さらに、麻酔から覚め、頭を自分の力で持ち上げることができるまでは自室に戻さない。気管内の分泌物や麻酔薬の筋弛緩作用などで気道閉塞(窒息)の危険性があるからだ。手術は成功しても術後の体温管理(保温)が悪いと術後合併症が増える。同様に、お産はうまくいっても出生直後の体温管理を怠ると、元気に生れた赤ちゃんでも胎内から胎外生活への適応過程に異常(適応障害)を引き起こす。出生直後の赤ちゃんの全身色が紫色になるチアノーゼは原因不明と考えられているが、体温管理(温めるケア)でチアノーゼ(低酸素血症)を防ぐことができる。出生直後の赤ちゃんは術後患者と同様に、油断すれば、いつ何が起きるか分からない。異常を早期に察知するためにも継続的な全身の観察が必要だ」(久保田医師)。

 日本周産期・新生児医学会のほか7学会は、STS中の児の観察すべき項目として、呼吸状態(努力呼吸、陥没呼吸、多呼吸、呻吟、無呼吸)、冷寒、チアノーゼ、バイタルサイン(心拍数、呼吸数、体温など)、母子の行動に注意する、と発表した。久保田医師は、学会が推奨するSTSは、呼吸状態・バイタルサインなどの観察はまったくできないとした上で、うつ伏せ寝と保温の方法に問題があると指摘する。

(つづく)
【山下 康太】

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