(株)生活の木(本社:東京都渋谷区、重永忠代表)は先月、生活の木薬香園で販売した石けんのラベルにアレルギー成分表示がない別商品のラベルを添付したとして自主回収を開始したが、12月9日時点でまだ回収した商品がないことが、弊社の取材でわかった。
<なぜ回収するのかわかりにくい自社告知>
当該品は、中身が「販売名HMGCPソープB01」であるにも関わらず、商品名「生活の木HANDMADE GUILD オリーブソープ」、販売名「HMGCPソープA01」として販売された28点。法定表示シールには「オリーブ油」、「ミツロウ」が表記されているが、中味のHMGCPソープB01には、「ココナッツ油」、「パーム油」、「グンジョウ」、「香料」も含まれている。
消費者庁の発表によると、「表記されていない成分は化粧品基準に沿った使用であり、重篤な健康被害はないと考える」としながらも、「表記されていない成分のアレルギー保有者が使用することによりアレルギー症状を発症する可能性がある」と記している。
しかし、同社がHP上で発表した「オリーブソープ自主回収のお知らせ」には、アレルギー成分表示が欠落していることを説明しておらず、消費者に回収の意図が伝わりにくいものとなっている。これに関し同社の担当窓口では、「お客様からのお問い合せがあったときに、ご説明するつもりだった」と回答している。
また、誤表示商品が発生した理由については「当該品は店舗で手作りをし、包装、ラベル貼りまで人の手で行なっている。このためラベルを貼り間違えるという人的ミスが発生したもの。今後、チェック体制をより厳しくするよう対策を考えているところ」と回答した。
ちなみに同店舗はショップ以外に、ハーブガーデン、レストラン、ベーカリー工房、アーユルヴェーダサロン、ハーバルライフカレッジ、蒸留器を有する手作り化粧品工房などがあり「従業員は10人。商品の製造については数も多くはなく、作業が逼迫するような状況ではない」(同社)という。
<化粧品に課せられる「全成分表示」>
このような状況下でラベルの貼り間違えが生じることは、確かに人的ミスとしか言いようがないのではないだろうか。しかし、その人的ミスは、個人的なものというより、企業意識の問題のように思える。
回収対象となった石けんを、「化粧品として販売していた」と同社の社員は語る。しかし化粧品は、薬事法により「全成分表示」が義務付けられている。その理由は、アレルギー成分は反応に個人差があるので、旧表示法のように特定の103成分だけを表示して注意喚起を促す「表示指定成分」だけでは不十分だからだ。石けんを化粧品として店頭販売するのであれば薬事法上の制限下にあるはずで、表示もそれに順ずる必要がある。誤表示商品は薬事法違反品として、回収を急ぐべきであろう。
アロマテラピーやハーブの市場は、化粧品として、あるいは食品として香りを楽しむ以上の目的を持つ分野にまで広がっている。化粧品や食品の表示や生産工程の管理が厳しく問われるなか、アロマ、ハーブ業界も同様の管理体制を企業内部に持つべきではないだろうか。
回収対象品は、以下のとおり。
商品名:「生活の木HANDMADE GUILD オリーブソープ」
販売名:HMGCPソープA01
ロット:480-018
販売期間:2013年7月21日~11月10日に販売したもの
対象商品数:28点
お問い合せ先:薬香草園ショップ(TEL:042-972-1787)
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