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復活したパワービルダー、分譲マンションのシェアを奪う?

2010年4月12日 12:07

 一時期、経営不安説が囁かれていたパワービルダーが再び蘇生して元気だ。
パワービルダーとは関東首都圏に源を発し、低価格の分譲戸建て住宅を手懸ける企業群を指すが、中でも飯田産業グループと称される飯田産業、アーネストワン、一建設、タクトホーム、東栄住宅等が群を抜いている。
 元々、飯田一男氏が作り上げた企業グループで、それぞれが株式上場していくなかで株の持合が薄れてきているが事業内容には共通したところがある。
 着工実績で上位に位置する一建設も昨年末にジャスダックに上場を果たし、そこで得た資金を元手に新規販売用不動産の取得に邁進している。九州・福岡でも昨09年の下期の着工実績は積水ハウスに次ぐ第2位に躍進している。
 08年後半は米国発のサブプライムローン問題が発生し、09年は「リーマンブラザーズ」の経営破綻から世界同時不況に突入した。そういった環境下で、顧客が付きそうだと見るや400~500万円もの値引き販売をする姿を見て、『大丈夫か?』と噂されたのが同企業群であった。しかし、結果は高値で購入した分譲用地を、土地の価格下落が長期的に続くと見て早めに見切売りをして身軽になった同グループ企業の戦略が正解だったようである。同社が顧客に説明するのは、「ローンを完済したら、確実に土地は残りますよ。マンションを購入すると初期段階はローンの支払いが少なくて済むと考えますが、実際には共益費や駐車料金の負担、更に30年後位に生じてくる建替え資金の積み立て等、戸建て住宅以上に毎月の出費が掛るものです」と言って説得する。現に土地価格の急落からマンションを購入する資金で戸建住宅を買える時代だ。
 こうして、早めに手持ちの分譲用地を見切売りして身軽になった彼等は逆に安くなった土地の購入に走り、そこに上物を建ててマンション並みの価格で戸建分譲を行ない業績を急速に伸ばしている。売れ残りのマンション商品を抱え、新規の土地購入に乗り出せない中小マンション業者は完全に顧客を奪われ四苦八苦なのである。09年の新規マンション供給が激減する一方で、発売戸数上位20社のシェアは約50%に届こうとしている。
 マンション供給業者同士の顧客争奪合戦だけでなく、そこにこれらパワービルダーとの激しい競合合戦が生じているのだ。福岡市郡でも広島本社の山根木材福岡支店が巧みな販売用地の仕込みで業績を伸ばしている。景気が底を打ったのではないかと見て、マンション業者やパワービルダーが条件(通勤・通学等)の良い土地を買い漁り始めた。早晩条件の良い土地と、いくら値下げしても買いが入らない土地との価格の二極分化が始まると思われるが、首都圏だけでなく九州都市圏でも優良住宅地の争奪戦が始まる。
 一方で、昨年の新設住宅着工戸数の激減(△28%)から下落していた針葉樹合板を含む木材製品価格も強烈な減産効果が出始めたところに、これらパワービルダーの販売好調からの需要増の兆しが現れ、これまでと一転して騰勢を強めそうな気配である。新設住宅へのエコポイント効果は僅か30万円ということで顕著な兆しは見えないものの、今年、年内一杯なら住宅向けの贈与税が1,500万円まで無税といういことで、ジワーッと効果が出始めてきたようだ。

【徳島】

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| 2010年4月 2日 13:27