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直撃インタビュー

気鋭のジャーナリスト・上杉隆氏が語る2011年の日本(3)
直撃インタビュー
2010年12月30日 08:00

不自由の鎖につながれた日本 立ち遅れている政治とメディア

<世界における日本メディア 共存共栄を図れない>

 ―ところで、日本の環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加に関して、どのようにお考えですか。 

 上杉 時代の推移としては当然だと思います。民主党は世界貿易機関(WTO)にしろ自由貿易協定(FTA)にしろ、農業まで含めた自由化と言っていましたから、その流れからすると問題ありません。もともと、鳩山さんの「東アジア共同体構想」の中にもTPPが入っていましたから、自ら言ったことはきちんとやってもらうのが筋だと思います。

上杉 隆氏 農業保護の個別保障については、もともとFTAとのバーターだったわけです。もっと言えば、03年のWTO加盟時の小泉農業改革にある程度の農業の自由貿易化が行なわれました。そのため九州の農業の一部はかなりやられてしまいましたが、そうは言っても日本1カ国で世界が生きているわけではありません。外に立ち向かえる農業を育てることを、あのときにもっときちんと構築しておけば、今はもう少しまともな対応ができたと思います。

 何しろ日本はすべて遅いのです。危機的状況になって、どうしようかとうろたえています。その甘さ加減には付き合っていられません。

 ―ちょうどインタビューをするまさに直前に、「北朝鮮、韓国の延坪島に砲撃」の一報が上杉さんのもとに入ってきました。ツイッターの情報収集の早さを上杉さんは買っておられますが、日本のマスメディアは速報性に一種の価値があったと思います。2011年はどうなるでしょうか。

 上杉 日本のニュースは本当に遅いですよね。今はツイッターが早いから、そこからリンクされているCNNやNYタイムスの映像や速報記事にアクセスした方が情勢を知るには早いです。日本においても2010年にはソーシャルメディアの役割がだいぶ変わりましたし、2011年はますますそれが加速化するでしょう。既存のメディアを凌駕した部分がたくさんあります。

 世界ではユーチューブなどが出てきても、オールドメディアと共存しています。ところが日本のマスメディアは、共存共栄を図らずに一方的に排除してきたために今のような遅れた状況に陥っているわけです。まあ自業自得ですね。現実は変わっているのにそれを直視していない、いつもの繰り返しです。世界中を見れば、この潮流は止まらないわけなんですがね。

(つづく)

【大根田 康介】

<プロフィール>
上杉 隆(うえすぎ たかし)
上杉 隆(うえすぎ たかし)1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。 政治、メディア、ゴルフなどを中心に活躍中。著書に『上杉隆の40字で答えなさい』(大和書房) 『結果を求めない生き方』(アスコム) 『記者クラブ崩壊』(小学館) 『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎) 『官邸崩壊』(新潮社)など多数。 ツイッターアカウント @uesugitakashi

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