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世界を飲み込む水危機と中国 日本の切り札「水技術」(1)
未来トレンド分析シリーズ
2011年1月28日 11:15

 菅直人首相は通常国会の合間を縫って、この1月29日にスイスで開催される「世界経済フォーラム」(通称、ダボス会議)に出席する予定である。事前に公表された演説素案によれば、環太平洋経済連携協定(TPP)参加に向けて積極的な取り組み姿勢を表明するようだ。お得意の「第三の開国」を世界にアピールするという。しかし、行きも帰りも機中泊という強行軍。どこまで海外の指導者たちとじっくり議論できるのか、大いに気になるところである。

 実は、昨年、一昨年とも、ダボス会議では水問題が熱心に議論された。この会議に提出されたアメリカのパシフィック研究所がまとめた報告書には衝撃的な内容が含まれていたのである。それは「20年以内に我々人類の文明は、水不足による崩壊現象に直面するだろう。地球規模で淡水が不足し、農業生産が深刻な被害を受けることは避けられない」との予測だった。具体的には「アメリカとインドで生産している穀物すべてが失われるに等しいほどの食糧不足が発生する」という意味である。すでに世界各地では、大規模な干ばつや大洪水が何年にもわたり発生するという異常気象が日常的になってきた。

 ノーベル物理学賞を受賞した中国系アメリカ人スティ-ブン・チュー博士は現在オバマ政権で、エネルギー省の長官を務めている。チュー長官曰く「現在のペースで異常気象が続けば、カリフォルニアをはじめアメリカの穀倉地帯は歴史上最悪の大干ばつに直面する」と警告を発している。「2100年までには、農業そのものが成り立たなくなる可能性すら考えられる」とのこと。

 水不足に直面している国や地域は全世界に広がっている。アジア、アフリカ、中東、ヨーロッパ、オセアニア、そしてアメリカといった具合である。つまり世界の人口の8割が暮らす地域で淡水の供給源となっている河川の汚染と枯渇が深刻化している。10億人が安心して水を飲めない環境に暮らしており、インドでは汚水の摂取が原因で毎日1,000人の子供が死亡している。汚染された水に苦しめられているのは人だけではない。インドでも中国でも数百種の動物が絶滅の危機に瀕している。

 こうした危機的状況をチェンジできなければ、水問題は地球規模で経済の破綻をもたらし人類の滅亡もあり得るわけで、世界経済フォーラムの警告は無視するわけにはいかないだろう。初めて同会議に出席する菅首相には、こうした環境、食糧、エネルギー問題に対する危機感を共有し、解決に向けての具体的な提案があるのだろうか。

(つづく)

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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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