<息の長い支援を>
被災地の漁業、水産加工業の現場では、工場、冷凍施設などの復旧を急ぎたいのに、行政面の煩雑な手続きが、スムーズな復旧の加速を鈍らせている。長い期間をかけて作り上げた下水道などのインフラも津波で大きな被害を受けた。沿岸部の漁業地区では、魚を加工した際に出る汚水などを海に流せない状況になっている。現場は「インフラの復旧が遅れているし、非常時だから魚を洗った水などを海に流してもいいだろう」という意見だが、行政の立場としてはそれを許可できない。こういう微妙な行き違いに、被災地は苦しめられている。
その間に、水産加工物など東北の商品は、ほかの地域で作られた水産加工物に取って代わられることになる。元のように製品を出荷できるようになったとしても、震災以前のように製品が売れるまでには時間がかかることになってしまう。
津波の被害を直接的に受けた沿岸部だけでなく、内陸部には、原発事故の放射能の問題が住民たちを苦しめている。宮城県栗原市では、家畜の牛に与える稲わらから基準値を越える放射性セシウムが出たため、自前で用意できていたものを現在では外から買い求めて、家畜に与えている。それだけでも、莫大な出費になる。加えて風評被害の打撃も大きい。牛肉の価格が風評被害で、10分の1に下がったところもある。
空いていた土地に仮設住宅を建てたため子供たちが遊ぶ場所がないなど、震災から1年が過ぎた現在も被災地の生活はさまざまなところで元に戻っていない。仮設住宅に残る高齢者や子どもの心身のケアなども切実な問題として残されている。
震災1年を経て、被災地で作った水産加工物などの商品は、ようやく全国のスーパーマーケットなどにも並び始めた。それを"お試し"で手に取ることも、全国各地でできるささやかな支援の一つだろう。
小野寺議員は「被災地で一生懸命に作ったものを買っていただくことも、被災地の人々にとっては、勇気づけられる支援です。今後も息の長い支援をお願いしたい。東北にはおいしいものも多いので、ぜひ東北に来てもらって、"にぎわい"を作ってもらえれば、と思っています」と、継続的な支援を呼びかけた。
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