11日、福岡市内で、環境省が「環境行政に関する全国説明会」を開催し、南川秀樹環境事務次官が約1時間30分に渡って東日本大震災以降の環境行政について講演した。これまで政府は、被災地がれきの広域処理について自治体に対する説明や要請は行なってきたが、一般には非公開としてきた。同説明会は、一般に参加者を公募して、これまで仙台、東京、名古屋で開催され、今回が4回目。九州では初となる。 平日にも関わらず、会場にはほぼ満員となる約120名の市民が詰めかけ、被災地がれきの広域処理問題に対する関心の高さが伺えた。
講演で南川事務次官は、放射性セシウムが100Bq/kg以下の廃棄物に関しては、コンクリートなどの建築資材に再利用でき、同セシウムが8,000Bq/kg以下に関しては、従来の廃棄物と同じ方法で安全に焼却、埋め立てができると強調した。また、被災地では、がれきが火災を引き起こしたり、学校などの近くに大量に積まれていることが問題であると指摘し、広域処理の必要性を訴えた。
公演後の質疑応答では、市民から「被災地のがれきを2014年3月末までに除去するという目標は、被災地からの要望に基づくものか」という質問がされ、「とくに具体的な要望があったわけではなく、あくまでも政府としての方針。現場を何度も視察したが、酷い状況だし、なんとかしてあげたい気持ちだ」と説明した。
また、説明会終了後、「実際に被災地を何度も視察するなかで、がれきの広域処理を政府に要請した自治体を教えて欲しい」という記者の質問に対して南川事務次官は、「石巻市や女川市などだったと思うが、どの首長や担当者というわけではなく具体的な名前は挙げられない」と話すに留まった。
説明会に参加したある女性は「被災地がれきの広域処理についてもっと納得できる説明が聞きたかった。質疑応答も短く消化不良」と不満をこぼしていた。この説明会は、きょう12日、熊本市内でも開かれる。
この説明会では、除染やCO2対策など、被災地がれきの広域処理問題以外についても講演がされた。原子力規制庁発足の準備がされ、今後のエネルギー政策において鍵を握る環境省。今回の講演内容の詳細については、追ってレポートをする。
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