シリーズ「官は守ってくれない!」 ~行政テロの脅威~ 大木町官製談合加担の6社は冤罪? |
[特別取材]
2008年05月08日 13:03 更新
筑後川水域の肥沃な土壌の恩恵を受け、のどかな田園風景が広がる福岡県三潴郡大木町。第一次産業を主体とし、約1万4,500人の人口を有する福岡県南西部の町である。この町で福岡県建設業界を揺るがす官製談合が発覚したのは、2007年10月12日。福岡県警捜査2課と大川署は大和建設(株)の代表と(株)大藪組の入札担当者を競売入札妨害の疑いで逮捕した。
この2社は大木町の24カ月間の指名停止を始め、各自治体において長期間の指名停止を受けることになった。また、この指名入札で談合に加担したとして、福岡県の名だたる建設業者6社(梅林建設(株)、(株)松本組、(株)サンコービルド、(株)高松組、(株)栗木工務店、松山建設(株))が各地方自治体から指名停止処分を受けた。なぜ、福岡都市圏から遠く離れた大木町でこれらの企業が指名されたのか。
これにはまず、同町の元議会議長が工事発注者という立場を利用し、一緒に談合を行なう地元建設業者を探していたことが背景にある。その後、大和建設(株)が名乗りを上げ、それに(株)大藪組が乗ったとされる。そして、事もあろうに、彼らは指名業者選定で知名度もあり、同町の入札参加業者として登録されていた6社をピックアップし、指名業者に選定した。この後、大木中学校改修工事入札の指名が行なわれたのち、大和建設の担当者が6社に対して「地場で落札したいのでよろしくお願いします」と電話で連絡したと聞かれ、各社の担当者は不審と思いつつも承諾したようだ。
結果的に、6社は官製談合の目論見のなかで勝手に指名業者に選定され、慣習に縛られ落札することもできず、そのうえ各地方自治体からの長期指名停止を受けるなど、割に合わない制裁を受けてしまった。
また、今回逮捕された元議会議長については、20年以上前から町内外の業者との癒着があったという噂が絶えず、入札の指名業者に意中の業者を入れるように、町幹部に働きかけていたという話もあり、長年にわたって官製談合が行なわれてきたことが次第に明らかになった。
今回の官製談合は、古い慣習の盲点を突いた悪質な事件であり、参加させられた6社はワキが甘かったとはいえ、被害者とも言えるだろう。