シリーズ「官は守ってくれない!」 ~行政テロの脅威~ 談合事件による大きな余波 大和建設(株) |
[特別取材]
2008年05月08日 13:04 更新
創業100年の歴史を持つ老舗ゼネコンの大和建設(株)。昨年10月、前社長が大木町議長に賄賂を渡した罪で、贈賄・談合罪により逮捕された。その事件は、各方面を巻き込んでの事態となった。
久留米地区トップクラスのゼネコン
大和建設(株)は、1898年8月に創業、1956年8月に設立された久留米地区を代表するゼネコン。水処理プラント土木工事を得意とし、久留米大水害で決壊した宮の陣橋、小森野橋の復旧工事をはじめ、久留米市の新庁舎、久留米市立図書館、久留米大学、福岡県青少年科学館など、久留米を代表する物件を手掛けてきた。
前社長の渡邊一生氏は95年4月に同社代表取締役に就任、同社をけん引してきたが、2007年10月に起きた大木町の談合事件で逮捕され、事態は一変した。
談合事件による飛び火
福岡県警捜査2課は07年10月、大木町が発注した中学校の大規模改修工事の入札を巡り、同社の渡邊前社長ら7名を逮捕。渡辺前社長が、前大木町町議会議長の内田清喜被告(あっせん収賄罪で起訴)より工事の設計金額を聞き出し、情報をもらった見返りに1,100万円を渡したことによる談合罪に問われた。
この事件により同社は、大木町より2年間、久留米市より10カ月間の指名停止を受けた。また、所轄の九州地方整備局より6カ月、そして渡邊前社長の刑が確定後に福岡県より15カ月間の指名停止を受けるなど、厳しい処分を受けた。
現在は、専務取締役だった渡邊次郎氏が社長に昇格、再建に向けて動き出した。しかし、この談合事件で福岡市内のゼネコン4社と大分市内のゼネコン1社が、同局より4月15日から30〜60日の営業停止処分を受けた。これら各社は、元々入札する意志はなく、慣例的とは言え、乗せられたかたち。つまり、同社と大藪組が落札するための当て馬にされた格好となり、6社のゼネコンに火の粉が降りかかったのである。同社のイメージダウンは計り知れない。