東日本大震災で日本中が悲しみに沈むなか、女子サッカーの日本代表「なでしこジャパン」が FIFA女子ワールドカップで優勝をとげ、大いに日本を元気づけた。
福岡の経済界においても、男性顔負けでバリバリと働く、パワフルな女性たちがいる。今回からシリーズで福岡で活躍する女性たちをクローズアップしていく。

　第１回は、福岡市でWebを中心とした広告会社を経営する高橋祐子代表。仕事に対する姿勢やこだわりについてインタビューした。

＜お客様の対価に見合う仕事を―＞
　福岡市にWebを中心とした、広告会社「デザイン タスク」を構える高橋祐子さん。太陽のように明るく、笑顔が印象的な素敵な女性だ。

　高橋さんの朝は、新聞やインターネットで情報をチェックすることから始まる。日本の各社新聞、CNN、ロイター、２ちゃんねる...。高橋さんの会社は、インターネットのホームページやパンフレットなどの企画、デレクション、デザインの制作を手がける広告会社だ。主にHPの制作を中心に取扱い、顧客がどういったものをつくってもらいたいのか、利益を上げるためにはどうすればいいのか、ヒアリングを重ねながら、制作していく。
　しかし、「ただ作ればよいというわけではない。できあがるもの、デザインは最後にくるものです。相手が何を求め、何をアピールしたいのか、実際にお客様が思っていること以外でも利益を上げるためにはどうすればいいのか、まず、そういったものを汲み取ることができないと、お客様と話をすることができません。本当に必要な公告を提案できなければ仕事をしたとはいえません」と、高橋さん。
　「たとえば、流通業界のサイトを制作するときには野菜や原材料、石油の高騰などの市場がどうなっているのか、法改正などは動いてないかなど、不動産業界であれば、土地価格の変動についての基礎的な知識はもちろん、現在の地方や中央がどのように人がながれているのかなどを知っておかなければ、お客様がどのような問題を抱え、何をアピールしたいのかはわかりません。勉強不足はお客様を不安にします。そしてただ、お客様の要望を聞くだけでなくどれだけ提案ができるかということが大切だと思います」という。

　デザインタスクでは、大手印刷会社からの受注がメインで、様々な業種の顧客に合わせている。業種は様々で銀行・金融関連、官公庁、博物館、学校関係や研究機関、飲食関連、流通業者、小売り販売店、製造メーカーや菓子メーカーなど・・また直接の顧客などに、幼稚園の制服会社、機器メーカーなど業種に捉われない。どのような顧客に対しても対応できるような幅広い知識と勉強が必要とされる。

　ある時、大学の博物館の仕事で、制作途中の広告デザインで、ある歴史的にも有名遺物のレプリカの写真が左右逆転で指示があったものや、絵画や美術品などの古典美術の年代の組み合わせも誤ったままに並べられ制作されそうになっていることに、高橋さんの確認段階で気付いた。早急に同大学の専門の教授に確認してもらい、誤りを訂正することができた。これは、高橋さんに古典美術や西洋の歴史についての知識がなければ気が付かない誤りであった。「研究機関としての大学の信用に関わることだ」と高橋さん。

　また、官公庁が子ども向けの学習サイトを制作の際は、身内や知人の対象年齢になる子どもたちに話を聞き、母親たちにも話を聞いて子ども達の意見を集めた。「何がはやっているの？何が好き？」そういった実際に子どもたちの意見を踏まえて官公庁へプレゼンした結果、子どもたちに普段触れ合っている児童館責任者や児童福祉の関係者たちから、提案した企画内容について賛同を得ることができた。

　「どんなにかっこいい仕事でも、お客様の利益につながらなければ意味がない。そういったものに結びつく仕事ができたときに、本当によかったと思う」と、高橋さんはいう。

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