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REBIRTH 民事再生600日間の苦闘(9)~砂を噛む日々の始まり(前)
経済小説
2012年5月 8日 07:00

<砂を噛む日々の始まり>
 デベロッパーの財務の難しいところは、業績を伸ばすためにはまずは土地の仕入れ、ということになり、それも用地の発掘から取得までをごく短時間にこなすために、借入実行もスピードが問われる点である。

img_2.jpg 分譲デベの場合は、建物が竣工した後もしばらく在庫が残るため、これをどう資金繰りするかもまた難しい課題なのだが、DKホールディングスの場合は1棟売に特化していたため、竣工と同時に物件を売却し、売却代金で土地代の借入を返済するとともに、工事代金の残金も、竣工の翌月から翌々月までに支払うことができていた。このため、事業環境のいいときは財務としては、ひたすらスピーディな借入実行をこなせばひとまず問題なかった。そのためには銀行と友好関係を保つとともに、堅実な企業としてPRに努めることが必要である。

 あとは、業績額と借入額そして利益率のバランスを考えながら仕入の加減速や利益率の強弱を見直していけばよかった。用地の取得段階で、マーケティングについては、家賃と利回りの設定・建築工事の見積などを確認することにより、一定の基準で絞り込んでいたため、これらのふるいにかけられた仕入物件は、ほぼ確実に売れていくことになった。

 こうして、すべてがうまく回転しているときの私の仕事は、もっぱら用地取得の目標管理だった。

 というのも、上記プロセスの結果、当社基準で仕入れた用地は必ず売れる。と、いうことは売上目標から逆算された仕入目標を達成すれば、目標達成の半分は見えたことになる。当然に、仕入の目標管理の後には、仕入れた物件の工程管理、利益率管理、受注管理と続いていくのだが。
 そして、向こう3年まで事業計画も、仕入れた物件の内容によって、おのずと定まってくる。
 もちろん中長期の事業計画というのはあるが、それも根幹は物件仕入に次第のものである。

 2007年までは、自己資本が薄く、メインバンクを置かなかったにもかかわらず銀行の評価も高かった。
 なぜかといえば、まず、仕入れた物件は必ず売り切っていたことがあげられる。1棟売専業のため、区分所有権を売り残すということがない。販売面でも、1棟2~3億円の新築物件が中心だったが、アパートローンの融資付けでは、逆に銀行にお客様を紹介し、銀行の融資残高をさらに伸ばしてあげられる立場でもあった。
 それに、仕入の目標管理を徹底すると同時に、予算自体を安全寄りに見直した結果、03年以降のDKホールディングスは毎年のように業績上方修正を繰り返すようになった。これで堅実な成長企業というイメージが高まった。

(つづく)
【石川 健一】

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<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)
東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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