<航空自由化で日本にも続々>
2007年3月、関西国際空港からブリスベンに向けて、ジェットスター航空JQ18便が離陸した。ブリスベン経由シドニー行きのこのJQ18便は、就航記念で往復2万円で売り出されていた。燃料費、空港税などを含めて約2万7,000円。日本に乗り入れた初めてのLCC(格安航空会社、ローコストキャリア)だった。
その後、日本の空のイノベーションは一時停滞し、LCCの名前はすぐには定着しなかったが、10年7月に中国の春秋航空のチャーター便が、茨城空港から上海虹橋空港へと飛んだ。最安値4,000円で海外に行けるというインパクトもあって一躍、LCCの名前は衆目を浴びることになる。
この春秋航空を皮切りに、国際化された羽田空港に乗り込んだエアアジアXなどLCCは、日本を魅力的な市場として続々と参入してきた。
<ピーチは目標以上の搭乗率達成>
日本勢では、ANA系列で、関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションが3月に就航。キャンペーン適用で、関西―福岡を最安値3,590円で結ぶなど格安価格が目を引いた。桃色をベースにした機体デザインも受けている。ピーチは、3月からの就航3カ月で、搭乗率77%を達成した。目標としていた70~75%を上回る搭乗率を実現。国内で3機の航空機を稼働させていたが、これを10機に増やし、5月に韓国仁川、7月に香港、9月に台北の国際路線を開設するなど、海外航路を強化する。
7月3日には、JALがオーストラリアのカンタス航空、三菱商事と立ちあげたジェットスター・ジャパンが就航する。成田―福岡を片道5590~18900円、成田―新千歳(札幌)を片道4,590~1万6,990円で結ぶ。8月に就航するANAの出資しているエアアジア・ジャパンは、成田―福岡を最安値で5180円の低価格。この値段なら、夜行バスで東京から福岡までを走るよりも安く、夜行バスよりも20時間は早い。10月には国際線の就航も検討しており、成田から韓国・仁川、釜山の2航路を就航する。既存の大手航空会社にLCCを加えた航空変革の時代が幕を開けた。
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