<日本、アジア市場に成長余力>
世界ではすでに、LCCと呼ばれる格安航空会社が、空を席巻しつつある。その第一号と言われているのは、空の自由化にいち早く着手したアメリカのテキサス州に本拠地を置くサウスウェスト航空だ。国内の短距離路線に徹し、飛行機を飛ばすためのコストの削減と事業のシンプル化に取り組んだ。ヨーロッパでは、アイルランドのライアンエアーがインターネットの拡充に目を付け、ウェブサイトを活用した航空券の直販でコストを削減。現在、年間約7,300万人の利用者を獲得し、人気を博している。欧米では、すでに空の移動に欠かせない存在になっている。
アジアでは、エアアジアが中心となって市場は拡大しているが、欧米での市場シェアが30%程度まで上がっているのに対し、アジアでは、まだ15%程度にとどまっている。LCCの乗り入れの少ない日本や中国には、まだ成長の余力が十分にある。
<ジェットスターなど参入で競争し烈>
07年にローコストキャリアとして、初めて日本を飛んだオーストラリアのジェットスター。12年に日本国内の空路に本格参入する。19日に都内で会見を開いたジェットスター・ジャパンの鈴木みゆきCEOは、LCCイノベーションを起こすと意気込んでいる。「この市場のチャレンジャーであると思う。どのように差別化を図り、顧客を獲得していくか、課題はあるが、信頼を勝ち取りたい。台北など国際線の航空路開設も意義を感じる。顧客の需要や施設利用料などの条件を見極めたうえで判断する」と、成田から台北、韓国、フィリピンなど国際便の就航にも意欲を見せていた。
LCCの国際路線が相次いで就航するこの夏は、LCCのピーチ、エアアジア、ジェットスターに加え、春秋航空など外国勢との競争が激化するのは必至。過去、アメリカでは、低コストを実現したが搭乗率を上げられずに破たんしたLCCもいくつかある。アジアでもマカオに拠点を置いたビバ・マカオなどが競争のすえに淘汰された。安さだけでは勝ち残れない。どのように独自のカラーを打ち出していくのか。経営の手腕も問われる。
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