さて、それからが忙しい。平山旅館を訪れたことがある著名文化人のなかから、この企画に賛同してくれそうな人に連絡を入れた。まず、市川氏の夫人で、女優としても活躍している柴田美保子氏が、イベントの語り部を引き受けてくれることになった。市川氏の遺志を託された実妹の愉実子氏は舞台の脚本を提供してくれた。そして、ロンドン・オリンピックの2012年ジャパンフェスティバルのエグゼクティブ・プロデューサーを務める書道家、小林芙蓉氏、日本でも珍しい巫女舞を各地の神社に奉納する舞踊家、浅野瑞穂氏なども、以後8年間、日本書紀編纂1,300年の年まで壱岐の文化を育てるために協力をすると申し出てくれたのだ。まさに、平山さんの想いに、日本古来の美しさと、現代の生活に必須の自然と共生している壱岐の人々に魂に、各地のアーティストたちが心を響き合わせてくれたかのようだった。「何もかもが、突然、偶然のように一致していきました。あっという間でしたよ」と平山さんは目を輝かせる。
6月25日、平山さんはまず九州全域にイベントを告知するために、福岡で記者会見を行なった。その後は、東京だ。「60人ぐらい集まっていただいていたかしら」と平山さんは息を弾ませる。一支国博物館を訪れる人たちのなかには、「次は9月に来ますよ」とスタッフたちに声をかけていく人もいるという。
九州と韓国の間に位置する小さな丸い島、壱岐。ここから発せられた想いに魂を響きあわせて遠くから人々が訪ねてくる。最初は、ただ壱岐の豊かな自然を伝えたい一心だった。しかしこれからは、人々のために世界に癒しのパワーを与えられるような自立した島になりたい。そんな想いを胸に抱いて、壱岐島民たちの手によるまちおこしプロジェクトは、始まろうとしている。
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<COMPANY INFORMATION>
■(株)平山旅館
所在地:長崎県壱岐市勝本町立石西触77番地
TEL:0920-43-0016
URL:http://www.iki.co.jp/
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