中国や台湾を拠点に、アジア各国を渡りながら取材活動を続けるフリージャーナリストがいる。現地のマスコミに精通する彼が、日本との文化の違いを感じながらも、アジアならではの面白さについて、リアルにレポートする。
インターネットの発展で、パクリやすい環境にはなったが、逆にバレやすくもなった。中国テレビ局にとっては「功罪相半ばする」といったところだろうか。
9月12日に浙江テレビで放送された『拯救小店大作战』。
訳せば「小さい商店を救う大作戦」となり、食堂を切り盛りする人たちを救おうという意が込められている。オープニングでは、スタジオで男性司会者がゲストコメンテーターとトーク。その後、吉林省の夫婦が登場し、VTRに入る。
タイトルを読んで察しがつく方もいるかもしれない。実は、番組の内容が日本のある番組にそっくりなのだ。
VTR部分。吉林省のある焼き鳥店。他の店は賑わうが、この店だけ客がほとんどいない。潜入取材したレポーター、ヒドい接客と味に驚愕する。応募してきたのは、この店のおかみ。このままでは生計が成り立たない、と苦悩の判断。店のおかみは、番組がチョイスした焼き鳥界の一流シェフに数日間弟子入り。厳しい指導に耐え、数週間後、店を再開。再オープン初日、店は大繁盛。果たして初日の売上は目標金額に達しているのか・・・。
そう、酷似した番組とは、テレビ東京で放送されていた『愛の貧乏脱出大作戦』である。VTRもスタジオも、構成が瓜二つ。
思えば、今年の『春晩联会』で中国人タレントが演じたコントが、日本のお笑いコンビ・アンジャッシュのネタとそっくりだということで、日中両国で話題となった。インターネットの普及により、テレビ放送された番組が、即座に動画共有サイトにアップされる。中国で、誰よりも動画共有サイトをチェックしているのは、テレビ局制作者である。ネットの普及により、海外の番組をパクりやすくなった。しかし、逆に、今度は中国で放送された番組も動画サイトにアップされ、日本にも情報が戻ってしまう。パクりやすくはなったが、パクリがバレやすくもなった。
ちなみに9月12日に浙江テレビで放送された同番組。動画サイトに数日間アップされていたが、その後、削除されている。
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