＜一生の財産となった少年期の思い出＞
　2012年５月に自叙書『逆境人生どんでん返し～逆境から学んだ型破りの成功術』を上梓した武野重美社長。８月に行なわれた出版祝賀パーティでは、出版は20年前から勧められていたが、なかなか踏み切れなかったと語った。このたび実現するに至ったのは、背中を押してくれた人たちがいたからだ。「あなたの生き方は非凡です。ぜひ文章に残して後輩に継がせるべきでしょう」と強く勧めてもらった。振り返ってみれば、たしかに平凡な人生とは言い難い。人様の目から見れば、波乱万丈にも思えるだろう。それが後輩たちに何かを伝えるものになるのなら、70歳を超えたことを節目と捉え、本を書いてみようか、という気持ちになったそうだ。

　本には、子どもの頃の思い出や、若き身に降りかかる試練を経て、ユニークな経営法で事業を展開していくさまが、赤裸々に描かれている。不慮の事故によって子どもの頃から温めていた箪笥職人への夢を手放さなくてはならなかった。しかし、最後まで諦めず修行を続けたおかげで、椅子職人として新たな道を切り開くことができた。人は困難が大きいほど強くなれるのだと実感したことが、その後の非凡な事業展開の礎になった。苦労はしたものの、親友や恩師を始めとする人間関係に恵まれていたこともまた、武野社長の人生を支える柱となった。いつも人に支えられてきたことに感謝している。だから、人をとても大切にしている。

＜逆境を乗り越えるのは逆転の発想＞
　本を書くにあたって、自分の生き方の、どこを後輩たちへ伝えればいいのかと考えた。思い当たったのが、この困難なことが多かった少年期の思い出だ。この時期があったからこそ、苦難に動じない自分が形成された。だからこそ、ありがたく思う気持ちは強い。そして今の世の中、打たれればすぐに挫けてしまう若者が、非常に多くなっている。

　苦労を買ってでもせよ、というよりは、逆境に立たされたとしても、前に進む努力さえ忘れなければ、必ず乗り越えられるし、得られるものがある、ということを伝えるためにも、少年期の思い出はぜひ載せよう、と決めた。それというのも後輩、とくに若者たちに対しては、成功した人と同じようなことをやってはダメだと知ってほしいからだ。自分の人生を自分独自の方法で切り開いていってほしい。そのためには、人が避ける未踏の地に敢えて踏み出す勇気がいる。勇気を持つためにも、困難を恐れて行動ができないような人間にはなってほしくはない。
　その思いは、自社の社員教育の理念にもなっている。今も社員とともに現場を回る。逞しさを自分の背中から学びとってくれれば本望だ。人に支えてもらった経験を若者にも感じてもらうためにも、本音で意見を交わし合う機会も大切にしている。

　近い将来、逆境人生をひっくり返していく楽しさを学んだ若手のなかから、低迷する日本経済に風穴を開けてくれるような若手経営者が現れるかもしれないと期待している。

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＜COMPANY INFORMATION＞
■（株）アダル
代　表：武野　重美
所在地：福岡市博多区金の隈3-13-2
設　立：1968年４月
資本金：１億8,225万円
ＴＥＬ：092-504-4141
ＵＲＬ：http://www.adal.co.jp/

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