1916年の創業以来、土木業を中心に地場総合建設業の雄として、業界を牽引する（株）松本組。同社の事業は、官公庁や自治体および公社公団との取引、地場企業を中心とした民間からの受注と幅広く、市内外のダムから九州自動車道・福岡都市高速道路、教育機関、福岡市内の再開発事業なども手がけている。同社代表取締役社長の松本優三氏は、㈳福岡県建設業協会の会長も務めており、自社や建設業界だけでなく、福岡地場経済が発展していくための事業構築を実践していく。

＜ストックインフラの整備に向けた体制づくり＞
　総合建設業として数多くの実績を残している同社。とくに鉄道および道路整備などの土木関連、教育機関などの大規模構築物建設を得意とする。冒頭記した通り官民のバランスが取れた受注が形成されている一方で、同社の強みは公共的なインフラ整備の事業であると言えよう。

　現在、福岡市で行なわれている、PPP（Public Private Partnership＝官民協業事業）へ、同社は積極的なアプローチを展開している。「PPPの考え方は、建設業の視点から地元経済を活性、振興させることです。つまり、福岡市を中心に地元総合建設業と金融機関を配し、その周辺関連業─専門工事会社やビル管理会社・設計事務所など、地元の企業がプラットフォームを形成して、官と民が一致団結して老朽化した公共物を改装・改築し、さらに維持管理を含めたマネジメントを民間が実践していくということです。
　これにより、我々建設業の企業は、建設業界以外の業界と一体感を持つことができ、良好な関係を構築していくことが肝要となります。これは弊社、そして建設業界にとっても閉塞感をブレイクスルーするチャンスだと思います。異業種の方々から弊社、建設業界が認知されることがこれから大切になってまいります。業界の垣根を越えたところで、信用を築いていくことですね」とグローバルな視点で、建設業としての地域貢献の重要性を語る松本代表。

　また、PPPに参画するには、自社の財務マネジメントの強化も並行して行なうことが必要であると強調している。ファイナンス面での対外的信用度もつくり上げていく必要がある。したがって、ひと昔前の政治的な関係による受発注とは異なり、１つの案件を成就させるには、ビジネスセンスが強く要求されるのである。建設業特有の事業構築ではない、企業として総合的な評価のうえで、取引が成立していく流れになっていくのである。
　PPPの建設分野におけるメインの事業は、老朽化した建築・構築物の改修工事とされている。その点について、「中・長期的な視点では、土木系の分野が強化されていくことが予想されます。その裏付けとして、日本国内の下水道は、構築年数50年超が約7,000km。50年超は耐用年数を超過しています。また、要観察である30年超が約７万kmあります。高度経済成長期につくられた下水道は、まさに団塊の世代です。下水道に代表されるストックインフラの整備が、今後急務になってくるでしょう」と松本代表が語るように、今後のPPP事業のキーファクターは、ストックインフラへのアプローチである。

　PPP事業に向けた同社の活動が本格化している。同社スタッフは、社外のPPP勉強会へ参加し、企画、提案、そしてプレゼンテーション力の再構築を実践している。これらの勉強会に参加することにより、それらの能力がアップされ、実際に民間工事での受注が行なわれたという。単に、見積書を持っていって受注がもらえるというようなスタイルでは、大規模なプロジェクトには参画できない。顧客目線でのプランニングとプレゼンテーションが重要だという。同社はPPPへのアプローチによって、事業の再構築と社内の改革・改善を同時に行なっているのである。

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＜COMPANY INFORMATION＞
■（株）松本組
代　表：松本　優三
所在地：福岡市東区馬出1-1-19
設　立：1966年５月
資本金：１億円
ＴＥＬ：092-651-1031
ＵＲＬ：http://matsumotogumi.net/

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