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コダマの核心

M&A件数日本一だった会社の自己破産申請の裏側(後)~アエルコーポレーション(株)
コダマの核心
2013年2月 2日 07:00

<SPC組成事業は舘崎社長単独事業>
 M&Aに取り組むと、必ず不動産処理の問題に直面する。A社の場合もたくさんの案件の解決に対応したと推測される。また、この不動産処理には美味しいところが横たわっている。欲に目がくらんだわけではないのだろうが、社内に『ソリューション事業部』を設けたのは03年前後のようだ。設置当初はスタッフを構えていた。だが、時間が経つに従って、この事業は実質、舘﨑社長1人の専任となった。誰も実情を把握することが困難であった。

 この『ソリューション事業部』のなかは、業務開発部と投資育成業務部とに分かれていた。業務開発部では、アセットマネジメント業務受託サービスを手がけていた。投資不動産の取得にあたっては、通常、顧客投資家はSPC等を利用して、投資対象不動産または投資対象不動産に設定された信託受益権を取得するかたちをとる。07年6月には、アセットマネジメント契約受託件数および資産残高は5件163億円あった。これが最大時、資産運用残高は250億円に達していた。この運用の失敗が、命取りになったのである。

<リーマン・ショックから立ち直りのチャンスを掴めず>
 過去の業績を参照されたし!!売上が3分の1に減っている。本業のM&A件数が激減したからと見られる。ただ、昨年9月にA社を訪問して武井嘉美副社長のコメントをもらったが、「リーマン・ショック以降、大きな案件は少なくなったが、小口の件数は増えてきた」と語っていた。やはり08年のリーマン・ショックで信用が縮小すると、M&Aの市場も縮むのである。A社も経費削減が求められていたのか、事務所を銀座5丁目に移転していた。武井副社長の弁によれば、【都落ち】となる。かつての優雅な社内雰囲気は一掃されてしまっていた。「古手の幹部社員達は退職して、若手メンバーを増やした」ことを耳にした。
 4期連続赤字が続くと、社内も陰気になっていく。A社を訪問した際には舘﨑社長は海外に出張で不在であった。海外のM&A件で飛んで廻っていたというよりも、資金繰りに奔走していたのであろうか!!過去の業績を見ても、M&A事業でこんな大きな赤字を生じることはないことは誰でも理解できる。リーマン・ショック以降の不動産価格の下落でSPCの利回りが悪化したことで、本業の利益から補填していることがよーくわかる。

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 取材途中に、舘﨑社長と連絡が取れた。同氏の発言によると「(1)リーマン・ショック以降、不動産価格の下落もあり、苦し紛れに一部損切り不動産売却を行なった。(2)さらに追い打ちをかけたのが、『2011.3.11東日本大震災』である。2012年の手持ち資産評価は、前年の8掛けとなった。(3)賃貸収入も下がれば、ノンリコースの元本返済が難渋する始末。本業の利益で返済するのは困難になり、友人知人から借入も限度がきたので、洗礼を受けてやり直す意味で自己破産を申請した」となる。

 会社を起こして16年で行き詰まるとは、返す返す残念であるが、M&A事業も景気動向・信用収縮に左右されるものであることを知らされた倒産劇であった。

(了)
【児玉 直】

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