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国民が返済する3.2兆円超の東電支援金
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2013年2月 6日 18:34

touden.jpg 東京電力は4日、原発事故賠償のために申請していた追加支援6,968億円が認められたことを発表した。これにより、支援金の総額は3兆2,431億円に達することとなった。ただし、賠償の範囲や金額については、いまだ未確定な部分があり、さらに追加が必要になる可能性もあるという。

 さて、3兆2,400億円。ひと口に3兆なんて言ってしまうと軽く感じるが、大きな数字である。およそリトアニアのGDPに匹敵するのである(2011年推計。名目GDP。420億ドル。1ドル80円換算で3兆3,600億円)。その大きなお金が原発事故の補償に遣われる。原発事故が起こったら、こういうお金の遣い方がなされる、ということである。

 金額の大きさ以外にも問題点はある。この支援金は政府が原子力損害賠償支援機構を通じて東電に支払われ、東電が黒字化したあかつきには返済することになっている。東電が黒字化したら、ということは、結局、東電の事業エリアの顧客が負担することに他ならない。国民全体から集めたお金で支援してもらって、関東圏の市民の方のお金で返す。全国の電力会社が肩代わりする、ということもあり得、その場合は国民自身が返済するのと同義となる。

 自分(国民)が自分に融資して自分が自分に返済するという、何とも妙な構図なのだ。地域独占企業ということは、地域住民の財布を握っているのと同じ。それを改めて考えさせられた。福島の方々の痛みを考えると賠償は過不足なく行なわれる必要がある。しかしながら、これは原発事故がなければ必要のないお金だったはずだ。「原発は安全」と言い張り、必要な対策を講じてこなかったことの罪は国民にはなかろう。もっと、万民が納得するような形での解決ができないものだろうか。

「この金額で再生可能エネルギーの発電施設を全国につくることができたら、日本のエネルギー構造は一変するだろうに」。
 ある企業経営者はつぶやく。大分で計画されているメガソーラー発電所は出力8万1,000kWで220億円の投資が見込まれている。この規模のメガソーラー発電所を150カ所近くつくることができる金額なのである。そして、再生可能エネルギーへの投資ならば、未来にわたって収入につなげることができる。

 安易な考え方かも知れないが、たとえば、再生可能エネルギーを使った発電施設の建設費用を政府が出資し、施設の運営益で支援金を支払う、というような取組みはできないのだろうか。"出口"だけを考える賠償の方法ではなくて、きちんと"入り口"から考えるべきなのではないか。大きな金額であるからこそ、遣い方によっては国にとって大きな資産になり得る。一歩踏み込んだ計画を期待したいところだ。

【柳 茂嘉】


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