ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

政治

尖閣問題、中国・安全保障の専門家は?(1)
政治
2013年2月27日 14:32

<緊迫する日中関係>
 1月30日、中国海軍の艦艇が、日本の海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用のレーダー照射を行なった。
 これをきっかけに、尖閣諸島の情勢は緊張感を増し、23日、首脳会談のため訪米中の安倍晋三首相は、ワシントンで行なわれた会見で、中国の尖閣諸島の領有権主張に対し、「何であれ挑戦を容認することはできない」と、中国側をけん制。日本が領有した1895年と、中国が領有権を主張し始めた1971年に触れ、法的に日本のものであるという認識を表明した。

 レーダー照射に関しても、日中双方の主張、思惑がぶつかり合う。日本側はタフな中国に対してどのように対峙していくべきか。経済的には切っても切れない密接な関係ができつつあるなか、日本と中国は尖閣諸島沖を巡って、すれ違う。相互理解を深めることはできるのか。
 中国の安全保障問題に詳しい慶応義塾大学法学部の安田淳教授に聞いた。

<メディアがあおりすぎた!?レーダー照射問題>
 30日の中国海軍艦が、日本側の海自護衛艦にレーダーを照射したという日本側の発表に対し、中国側は「報道で知りました」「ねつ造だ」などと事実を否定。言葉の応酬になり、「素直に謝罪し、再発防止に努めてもらいたい」という安倍首相の謝罪要求に対して、以降、沈黙。中国側から謝罪する気配は見えない。

 中国の安全保障に詳しい慶応義塾大学法学部の安田淳教授は、「レーダー照射に対する自衛隊と政治の対応は、冷静で判断も的確だった。しかし、メディアが騒ぎすぎたのは、向こうの思うツボだったのではないか。弾を撃ったわけではない。騒ぎすぎると、逆に中国の戦略に乗ってしまう」と分析する。
 中国には、"統一戦線"という戦略がある。敵を孤立させて、味方をできるだけ大きくしていこうという作戦で、今回の尖閣諸島を巡る問題でも、味方を増やすために、中国の団体がアメリカの新聞に「尖閣諸島を日本が横取りした」という広告を出すなど、さまざまな手を打ってくる。

yasuda.jpg 安田教授は「今回のレーダー照射に関しても日本が右傾化し、危険な存在として、中国に立ち向かう行動が多いということを国際社会に訴えようとしている。世界に、"問題"の存在を宣伝して、中国の味方を増やそうとしている。騒ぎすぎたことで、逆に宣伝がやりやすくなったのではないか」と、日本側は、騒ぎすぎたメディアを含め、粛々と対応すべきだったとの見方を示す。
 「一部、メディアが報道したように、文民統制ができていないかというと、そうでもない。国際的な基準に照らし合わせると、危険で失礼な行為であるのは確かだが、向こうの共産党・軍の安全保障の基準では、レーダー照射を"戒めるべきこと"だと思っているのかどうか。日本側が"けしからん"と謝罪を求めても、中国は悪いと思っていない」と、日中間に考え方、価値観の違いがあるという観点に立つことが必要だ。

(つづく)
【岩下 昌弘】

| (2) ≫

<プロフィール>
yasuda_pr.jpg安田 淳(やすだ じゅん)
慶応義塾大学法学部教授。専門分野は、国際関係論。専攻領域は、現代中国の安全保障、軍事。1983年、慶応義塾大学法学部卒業。89年、慶応義塾大学法学部博士課程単位取得退学。防衛庁防衛研究所、防衛庁教官を経て、99年に慶応義塾大学助教授。05年より現職。


※記事へのご意見はこちら

政治一覧
濱口和久「本気の安保論」
2013年2月27日 14:38
濱口和久「本気の安保論」
2013年2月19日 11:26
政治
2013年2月14日 13:15
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル