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不動産鑑定のプロが見る福岡の未来~第一鑑定リサーチ 吉田 稔 代表
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2013年3月18日 11:53

<将来有望だが全国土の均衡な発展が必要>
 活況が指摘される不動産市況。30年以上不動産鑑定を手掛ける(株)第一鑑定リサーチ代表取締役・吉田稔氏に地価から見る福岡の現状と今後の展望を伺った。

 ――福岡地区の不動産取引の現況はいかがでしょう。

 吉田 都市部では路線価を上回る取引が活発に行われています。投資先としては、おそらく東京の次に大阪・名古屋ではなく「福岡」でしょう。

 ――天神地区は元気がなくなったとも言われていましたが。

 吉田 天神1丁目の地価はこの2年下がっていません。商業施設だけでなくオフィス、住宅など不動産の用途はさまざまでその需要も異なります。確かに天神地区の商業施設は苦戦していますがJR博多シティの開業や天神地区のオーバーストアが要因だと思います。一方で低金利が後押ししたこともあって投資市場は活発でした。また、オフィスは新たなビル供給できる立地がなく空室率は改善傾向です。天神地区の一等地価は博多駅前一等地の2倍程度の地価を維持しています。

 ――博多駅周辺はどうでしょう。

 吉田 この地区は都心にしては2005年頃までの地価が低かったのです。JR博多シティ開業への期待感もあって駅周辺一等地の地価は2006年からの2年間で約2倍になりました。リーマンショックを経て09、10年は連続して二桁落ち込みましたが11年以降また上昇傾向です。博多郵便局と隣接するJR九州が所有するビルの再開発が決まったこともあり、駅周辺はホテル用地を中心として需要が増加しています。

 ――東部地区の取引が盛んなようです。

 吉田 千早などでマンション供給が増加しています。新宮中央駅周辺はイケアなど商業施設が増加。あわせて集合住宅も建設が進んでいます。このあたりは何もなかったところにJR新駅設置と区画整理による開発が行われて活性化したエリアです。

 ――それら地価の決定要因とは、また有望地区はどこでしょう。

yosida.jpg 吉田 希少性は大きな要素です。中・大規模な戸建用地は都心近郊にはほとんど残されていません。百道浜4丁目や地行、西新、室見など交通・生活利便性が高く社会的及び居住環境が特良であるエリアは物件数が少ないので地価は高くなります。住宅地は住環境、鉄道、買物、学校などが大きな要素です。その点、大牟田線沿線の春日市・大野城市の地価は比較的高いです。基本は鉄道駅の利用が可能な地域あるいはバス停が豊富な地域か否かということです。

 ――取引が活況な背景は何でしょう。

 吉田 全国的には、史上空前の低金利や金余り及び中小企業金融円滑化法の施行などが影響したと思います。同法は中古物件の流動量を減少させ、低金利と相まって新築の物件はよく売れています。マンション業者などの供給側の仕入意欲を旺盛にしパワービルダーの台頭を促したと思います。
 加えて、福岡の特徴は、空港への近さやアジア圏への地の利といった立地が魅力です。九州新幹線の開業、地下鉄3号線や都市高速の整備などで全国屈指の活況にあると思います。

 ――懸念材料がありますか。

 吉田 福岡では、当面この勢いが続くと思います。ですが、国土の均衡ある発展が必要だと感じています。地方の過疎化は深刻です。私の故郷・島原市は80年代には旧有明町を含めて人口5万8,000人を超えていましたが、現在は約4万8,000人です。福岡県でも状況は変わりません。あらゆるところに鑑定に出向きますが、活況だった地区が衰退しています。このままでは大都市のみに人が密集しその他のコミュニティは消滅してしまいかねません。
 今は政権交代により景気浮揚への期待感にあふれていますが、先を見据えた地方の雇用対策が急務だと思います。大企業が地方子会社を設立すれば受け皿になるでしょう。農業への参入を促す規制緩和などにも期待したいです。

 ――そういう点では太陽光発電の普及は光明の1つでは。

 吉田 不動産資産が生きるという点で大ヒットでした。エネルギー、環境、収益と社会貢献しながら有効活用できる。また、コストと収益が計算できるので事業計画が立てやすい。工場用地など価格の付かなかった未利用地がいまや引っ張りだことなっています。土地の活性化を促した非常に画期的な事象だったと思います。
 ただし、継続的な雇用を生む訳ではないので雇用対策は別に必要だと思います。

 ――福岡の今後の見通しはどうでしょう。

 吉田 福岡市は日本やアジアでも有数の魅力ある都市です。地下鉄3号線の博多駅までの延伸、空港滑走路増設構想など成長因子はまだあります。またアジア圏への地の利はますます有効になってくるでしょう。
 
 ――今後の抱負を

 吉田 一概に不動産鑑定といっても様々な種別や類型があります。様々です。都市部だけでなく田、畑、山林なども鑑定します。また、地代家賃、借地権、底地、区分地上権の評価もあります。学卒後すぐから14年、自ら開業して18年になりますが一生この業務を通して皆様のお役に立っていこうと思います。
 私が所属する福岡県不動産鑑定士協会は昨年4月に公益社団法人になりました。それを記念して「知って安心!不動産鑑定士のはなし」を11月に出版しました。これを読んで頂ければ不動産の「不思議」や「なぜ」が分かって頂けると思います。

【鹿島 譲二】

book.jpg「知って安心! 不動産鑑定士のはなし」
価 格:1,200円(税別)

■取扱書店
 ジュンク堂福岡店
 丸善博多店
 紀伊国屋福岡店 など


<COMPANY INFORMATION>
(株)第一鑑定リサーチ
代 表:吉田 稔
所在地:福岡市中央区大名2-2-50
TEL:092-724-5666 
URL:http://www.daiichikantei.co.jp/


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