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脱原発・新エネルギー

電源の急激な変化は国民のためになるのか(前)
脱原発・新エネルギー
2013年6月17日 07:00

 エネルギーのあり方が問われている。これは同時に、日本の大きな枠組みの編成をも意味している。福岡県第5区選出の原田義昭衆議院議員(代議士)は、議員を志すまで資源エネルギー庁で辣腕をふるっていた。その後、個別ではなくエネルギーの大きな政策立案に関わるべく衆議院議員選挙に出馬、現在に至っている。太陽光をスムーズに普及させるための団体の理事長も務める原田代議士に、エネルギーのあり方、考え方をうかがった。

<電源は重要なインフラ>
 「本当に国のため、国民のためになる選択をしなくてはなりません」――福岡5区選出の衆議院議員、原田義昭代議士はこう語った。東日本大震災以来、止まり続ける原発。余裕のない電力状況。それに対して原田代議士は急激な哲学の変化は大きな歪みを生みかねない、と指摘する。

 「東日本大震災を経験した今、原発を取り巻く状況を見ましたら、たしかに以前の見通しには甘い部分があったのだろうと思います。勢いでたくさんつくりすぎてしまったのではないかと。今回の事故を踏まえて、国民が原発の危険性を心配するのは無理もないことだと思います。 しかし、だからといって、すぐ原発はなくさなければならない、と結論付けるのは政治家としては無責任すぎるように思います。民主党政権下でも、事故が起こるまでは2030年までに日本の電力の50%を原発でつくり出すということを言っていました。地球温暖化のためには原子力しかないということが大きな理由です。エネルギーを安定供給して、かつ、環境を守るためには、結局、原子力こそが夢のエネルギーだという結論だったのです。ところが、福島原発事故後は180度方向転換をしてしまいました。そのときそのときの立場もあろうとは思いますが、それだけで将来を決めてしまうのはいけないと思います」。

0614_harada.jpg 国民にとって何が大切かを熟慮し、政治家として国の将来を考えなくてはならないという指摘である。原田氏は議員活動を始める前、資源エネルギー庁の官僚だった。1976~78年、原発設置について地元の理解を得るために市町村、住民に説明にまわったこともあるという。事務官として技術者から原発の安全性も聞いているし、多くの原発の視察にも行ったという。それゆえ、原発に対する思いは強く、現状に対して憂いを感じているのである。
 「電力は国のインフラの重要な地位を占めています。電気が安定的に供給されなければ、海外からの企業進出も鈍化することになりましょうし、製造業にも大きな影響が出ます。高価な電気料金にもなりかねませんし、そうすると国民生活にも負担を強いることにつながってしまいます。政治家は、その折々の感情ではなく、国民の安心、安全、活力、そういったものをトータルで考え政策を決定していかないといけないと考えております」。

<長期的な目標が必要>
 では、どのようにエネルギーの舵を取っていけばよいのか。

 「原発の危険性ははっきりとわかりました。けれども、一度も大きな事故を起こしていない、地盤のしっかりした土地にある原発まで止め続けているというのは、あまり好ましいとは言えないでしょう。電気料金が上がったり、安定供給に不安を残したりするようでは産業の発展の妨げとなりますし、国民生活も豊かになりません。安全性というのはとても大切な考え方ですが、急変させるのではなく、5年、10年、20年先を目標に定めて行動していくべきだと思います」。

 今、原発事故が起こったから原発を止め、再稼働させずになくしていく。そうすると、毎年電力不足の危機的な状況が生まれてしまう。そうではなくて、大きなゴールを設定し、そこに至る過程で原発から脱却していくべき、と原田氏は言うのである。
 現在、原発は止めていられているが、それは薄氷を踏むような慎重さで需給予測を立て、経済や家計への影響まで考えてぎりぎりのラインを見ながら施策が講じられているのだ。そのような危険な状態を続けるのではなく、何年後にどの程度のエネルギーを、何で賄うか、その間、どういった電源を活用していくか、という視点を持って手を打っていかなくてはいけないというのである。
 再生可能エネルギーをフル活用していくのは大変良いことだが、現在の状況では補助の役割を担う程度の存在感しかない。これを柱の1つに、具体的に言うならば消費電力の3割程度の発電量にまで明日引き上げることができるのならば、原発は止めたままでよいという結論が出せるのだろう。しかし、それは現実にはあり得ないことである。したがって、現実的な判断をするならば、原発を「つなぎとして」活用しつつ、次の柱の成長を待つ、というのが国民の利に適う、と原田氏は言うのである。

 「電源をどのように構成していくか、というのが今一番必要な議論ではないでしょうか。その議論のうえで、原発を止めるなら止める、継続するならするということを結論付けていく必要があると思います。そのために、必要ならば原発をしばらく動かすという選択肢もあり得ると思います。急激な変化ではなく、どうやって落としどころをつくっていくかが、今、求められているのではないでしょうか」。

(つづく)
【柳 茂嘉】

| (後) ≫

<プロフィール>
0614_harada_pr.jpg原田 義昭(はらだ・よしあき)
衆議院議員・原田義昭代議士。1944年10月1日生まれ。東京大学法学部卒業。新日本製鐵入社後、通産省に入省。その後政治の世界へと歩みを進めた。柔道6段。


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