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2014年度の日本経済は大不況?~植草一秀氏
経済
2013年9月18日 15:53

 NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、安倍政権は消費税率8%への引き上げを強行実施する可能性が高いが、2014年度の財政デフレのマグニチュードはとてつもない規模になり、このまま進めば2014年度の日本経済は大不況に陥ると指摘する、9月18日付の記事を紹介する。


 昨日9月17日午後1時半より、参議院議員会館会議室において、消費税増税に反対する緊急アピールの記者会見を行った。会見の模様はIWJチャンネル4にて生中継された

 大手メディアでは、東京新聞、北海道新聞、読売新聞の記者が出席された。ただし、読売新聞記者は途中退席された。

 安倍政権は紆余曲折の末、2014年4月の消費税率8%への引き上げを強行実施する可能性が高い。緊急アピールは、その増税の凍結を求めるものである。私も消費税増税に反対であり、その意見を表明した。昨日記事にも記述したように、5つの理由を提示した。
 1.消費税増税の前にやるべきことがある
 2.増税の理由とされている持続可能な社会保障制度確立の道筋がまったく示されていない
 3.日本財政が危機的状況にあるとの財務省の説明が虚偽である
 4.財政構造改革の手順が間違っている
 5.消費税制度に根源的かつ致命的欠陥が存在する

 このうち、1、2、4は相互に関連する内容である。急速な高齢化社会を迎える日本における財政構造改革の必要性を私はまったく否定しない。財政構造改革は極めて重要な課題である。しかし、安倍政権が推進する財政構造改革には賛成できない。その理由がこの1、2、4である。

 具体的には、切るべき無駄な財政支出が切られていないこと。無駄な財政支出は逆に拡張されつつある。その一方で、拡充すべき社会保障支出が無残に切り込まれつつある。これこそ、本末転倒を絵に描いたようなものだ。最終的に国民負担の増加は避けられないと思うが、国民負担のあり方についての論議が行われていない。あるいは、国民負担のあり方が間違った方向に向かっている。

 東大名誉教授の醍醐聰氏は安倍政権が推進している消費税増税が消費税増税法の本則に反している点を鋭く指摘された。消費税増税法の第一条には「趣旨」として、

 「この法律は、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することにより支え合う社会を回復することが我が国が直面する重要な課題であることに鑑み、社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から消費税の使途の明確化及び税率の引上げを行うとともに、所得、消費及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引上げ及び相続税の基礎控除の引下げ並びに相続時精算課税制度の拡充を行うため、消費税法、所得税法、相続税法及び租税特別措置法の一部を改正するとともに、その他の税制の抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置について定めるものとする。」

と表記された。何を言いたいのかすぐには理解しがたいが、要するに、「世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することにより支え合う社会を回復することが我が国が直面する重要な課題である」ことを認識して、1.社会保障制度改革、2.行政改革、3.経済状況の好転 を条件として、消費税の使途明確化及び税率の引上げを含む税制の抜本改革を行う」ために消費税法等の改正を行うとされているのだ。

 醍醐氏は、実質2%、名目3%の成長実現の道が確保されなければ増税をできないなどの、附則18条に関連する問題などばかりが取り上げられるが、より根源的な問題として、本則に定められた事項が満たされていないことを指摘された。つまり、「社会保障と税の一体改革」の表現が使われてきたことに示されるように、消費税増税は、あくまでも社会保障改革と一体のものとして論議されてきたものなのである。
 ところが、現実には、その肝心要の社会保障制度の拡充が実現されるどころか、社会保障制度が破壊される制度変更が強硬に推進されているのである。緊急アピールの表題が、
「社会保障の充実なき消費税増税に反対する緊急アピール」であることは、まさにこの点を衝くものなのだ。

 消費税増税が国会で法律として制定されたから、これですべての必要手続きは完了したと勘違いしやすいが、法律に記載されている事項と現実の施策が矛盾を持つならば、消費税増税という制度施行そのものが正当性を持たなくなってしまう。社会保障制度改革の実現という前提条件を満たしていない消費税増税は、この法律自体の規定を満たすものでないのだ。したがって、法律が制定されたからと言って、この増税を施行することには正統性がないと言わざるを得ない。

 具体的な問題については改めて詳述したいが、私は、財政構造改革の正しい手順は、 1.政府支出の無駄を切る、2.社会保障制度を拡充する、3.適正な国民負担のあり方を確立する であると考える。現在進められている「財政構造改革」は、この基本手順に完全に反するものである。

 さらに、日本が財政危機に直面しているとの政府の説明が虚偽であること、消費税制度に根源的・致命的な欠陥があること、を消費税増税反対の理由に挙げている。

 しかし、実はさらに重大な問題がある。記者会見で私はこの点を口頭で補足した。それは、2014年度の財政デフレのマグニチュードが、とてつもない規模になることだ。実は、この指摘は本邦初のものなのである。このまま進めば、2014年度の日本経済は大不況に陥ることが間違いなくなってしまう。

※続きは、メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(有料)」第668号「誰もまだ指摘していない2014年度財政デフレの罠」にて。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』


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