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徳洲会事件と辺野古海岸埋め立てをつなぐ点と線~植草一秀氏
経済
2013年9月26日 14:23

 NET-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。
 今回は、徳田毅衆院議員(自民・鹿児島2区)の選挙をめぐる公職選挙法違反事件での医療法人「徳洲会」強制捜査事件は、安倍政権が辺野古海岸埋め立て許可問題で仲井真知事を追い込むために表面化させたのではないかと推測している9月25日付の記事を紹介する。


 徳田毅衆院議員(自民・鹿児島2区)の選挙をめぐる公職選挙法違反事件で医療法人「徳洲会」が強制捜査の対象となっている。グループ内の職員を大量に動員して選挙運動に従事させ、報酬を支払っていたとされる事件である。

 なぜいま徳洲会事件なのか。ここにこの事件捜査の核心がある。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』(明月堂書店)に徳洲会による選挙活動について記述した。第一章「偽装」第一節「沖縄知事選と徳州会病院臓器売買事件」の記述を紹介する。

 「2006年11月19日に沖縄県知事選挙が実施された。9月26日に発足した安倍晋三政権にとって、政権発足後の最初の試金石となる選挙だった。沖縄では普天間基地移設による基地跡地返還問題が行き詰まり、これも知事選の重要な争点だった。米国は「トランス・フォーメーション」と呼ばれる米軍の世界配置の再編を進めており、在日米軍の再編も重要な政策案件となってきた。小泉政権を引き継いで米国の意向に従う方針を示している安倍政権にとっては、今後の政権基盤を固めるうえで、沖縄知事選は負けることのできない選挙だった。果たして、選挙は与党の勝利に終わった。自公推薦の仲井真弘多(なかいま ひろかず)氏が347,303票、野党ほか推薦の糸数慶子(いとかず けいこ)氏が309,985票だった。3万7,000票差での仲井真氏勝利だった。投票日当日のマスコミ出口調査では糸数氏リードだった。だが結果は逆になった。朝日新聞が実施した出口調査では、投票した県民の56%が経済問題を最重視し、その中の67%が仲井真候補に、32%が糸数候補に投票した。基地問題を最重視した人は28%で、このうちの84%が糸数候補に、15%が仲井真候補に投票したとのことだ。投票所に足を運んだ有権者の3分の2が経済問題を重視し、その結果、仲井真候補が勝利したとの分析が可能である。だが、別の視点で鍵を握ったと言われたのが、11万票もあった『期日前投票』である。不在者投票は8年前の知事選時には5万8,000票だったが今回は11万票に増えた。創価学会が動員をかけたことも伝えられたが、もうひとつ指摘がある。『徳洲会病院』が仲井真陣営の支援に回ったのだ。徳洲会は沖縄県内に16もの医療施設を持つ。鹿児島2区を選挙区とする元自由連合の徳田毅衆議院議員は徳洲会前理事長である徳田虎雄氏の子息だ。その徳田議員が知事選を前に沖縄で1,200人の集会を開いたという。徳洲会は組織をフル動員し、また鹿児島から百人単位で職員を沖縄に派遣して選挙戦に従事させたそうだ。」

 さらに拙著から転載する。

 「ここまで読み、ある騒動を思い浮かべた人がいるだろうか。沖縄知事選と並行して進行した騒動があった。10月から11月にかけて新聞を賑わせた愛媛県宇和島徳洲会病院を舞台にした「生体腎移植問題」だ。大きな事件と言うより、不自然に大々的に取り上げられた事件だ。徳田毅議員は沖縄知事選直前の11月2日に自由連合を離党した。沖縄知事選後の11月29日に自民党に入党願を提出した。徳田氏の父である徳田虎雄氏がかつて衆議院選挙を戦った鹿児島県奄美群島選挙区は、徳之島や奄美大島を中心に壮絶な金権選挙が行われ、全国にその名が知れ渡った。「徳之島戦争」と言われた激しい選挙戦の背景には日本医師会と医療法人徳洲会の骨肉の争いがあった。沖縄県知事選挙と宇和島徳洲会病院を舞台にした臓器売買事件。二つの話題を結びつける国民は皆無に近いだろう。私も友人が雑誌記者のブログ記事を送ってくれなかったら見過ごしていた。ブログ情報は、徳田氏の自民党入党を警戒する日本医師会が徳洲会攻撃を展開したこと、自民党幹事長に就任した中川秀直氏が徳田氏に交渉を持ちかけたことを指摘していた。真偽を確認することはできないが、十分に考えられる話だ。沖縄知事選後、徳洲会病院の生体腎移植問題報道は急減した。司法当局が本格的に動き出す気配も後退した。」

 原発・憲法・TPP&消費税・沖縄 これが、いま私たち主権者が直面する五大問題である。安倍政権はジュゴンが生息する辺野古の美しい海岸を破壊して、巨大な軍事基地を建設しようとしている。辺野古海岸を破壊するには、沖縄の仲井真知事による海岸埋め立ての許可が必要だ。来年1月には、最大の焦点となる沖縄県名護市の市長選がある。安倍政権としては、この選挙前に仲井真知事から海岸埋め立ての許可を得たいとの思いが強い。

 2010年の仲井真知事再選の直前には、尖閣海域で中国漁船の衝突事故が創作された。
これも仲井真知事を再選させるための工作活動のひとつであったと思われる。その選挙から3年が過ぎ去ろうとしている。この選挙でも選挙違反があったのかどうか。公訴時効の3年を目前に、いま、徳洲会病院の選挙違反捜査が進められている。

 これは私の推測だが、徳洲会事件は安倍政権が仲井真知事を追い込むために表面化させた事件なのではないか。捜査当局に選挙違反事案を摘発する意志があるなら、2006年12月の沖縄県知事選に際しての徳洲会の動きを押さえるべきであった。

※続きは、メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』(有料)」第675号「徳洲会事件が仲井真沖縄県知事に波及する可能性」にて。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』


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