<日本企業も続々と進出>
長く日本はODAでラオスのインフラ整備などに貢献してきたが、民間企業のラオスへの投資はなかなか進んでいなかった。中国、韓国に先を越されてきたが、ラオス計画投資省の鈴木上級顧問らの努力の甲斐があり、今年3月にニコンが、中南部のサワンナケート県にあるサワン・セノ経済特区に入ることが決まった。4月にトヨタ紡織が進出することも決まり、ようやく、日本企業からラオスへの投資が軌道に乗り始めた。
2005年から植林事業に関わってきた王子製紙や、漢方薬の原料生薬を栽培しているツムラも引き続き、ラオスでの事業に力を入れている。
日本からの投資促進に奔走する鈴木上級顧問は、「このところ、日本からの投資件数も投資額も増えてきています。今回の訪日でも、いいきっかけをつかめたと思います。大きい企業であろうが、小さい企業であろうが規模に関係なく、歓迎しています」と、手ごたえをつかんでいた。
7日のセミナーにも機械関連、食品関連企業、金融業界からも多くの担当者が訪れており、今後、ラオスの経済特区で生産し、近隣の中国、タイ、ベトナムなどに出荷するという流れは、加速しそうだ。
<安定していて安価な電力>
ラオスの利点の一つは電力にある。豊富な水資源による水力発電が、ラオス国内のエネルギーを支えており、現在、1970年代に日本人が建設に協力したナムグム第1ダムのほか、14カ所の水力発電所が稼働。さらに、その水力発電のポテンシャルは高く、18カ所のダムを建設中だ。関西電力も今年8月に進出し、タイとの国境付近にあるナムニアップ川(ヴィエンチャンの北東約150km付近)に、ダムの建設に乗り出し、来年1月に着工する予定。このナムニアップダムで290メガワット(270メガワットの発電所と20メガワットの発電所による主副発電)の発電を行ない、ラオス電力公社、タイ電力公社との間で、27年間の長期売電契約を結んだ。関西電力は、日本企業の持つ技術力の提供により、インフラ輸出拡大への貢献も狙っている。
水力発電により、ラオスには安定していて、しかも、安い電力が供給されている。ミャンマー、カンボジアでは停電が多いため、自家発電や購入に頼らざるえないことを考えると、このメリットは大きい。電力を多く使用する製造業などにとっては、コスト面で軽視できない節約額になる。
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