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子ども・被災者生活支援法、基本方針を閣議決定~対象は福島33市町村
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2013年10月11日 19:26

<被災者の声は十分に反映されず>
 11日、政府は、福島第一原発事故で被災した人たちを支援する「子ども・被災者生活支援法」の基本方針を閣議決定した。

 健康診断、除染などの支援を受けられる対象地域は、放射線量では区別せず、福島県東部の33市町村に限定した。これについて、対象地域外の被災者から放射能汚染による健診などの費用の支援を受けられないなど不満の声が上がっていた。放射線量の高いとされる宮城県、栃木県、茨城県、千葉県などの自治体からも、放射線量「年間1ミリシーベルト」を超える地域についてはすべて支援対象とするべきとの要望が上がっていたが、線量での線引きはされないことになった。これら要望に対し、政府は、必要な場合には施策ごとの「準支援対象地域」を設定するとしている。

 支援対象地域の選定に関して、被災者から多くのパブリックコメント(公募意見)が寄せられていたが、この被災者の声に十分に答えることがないままの閣議決定となった。

<縦割りの弊害>
 被災者の声を十分に汲み取れなかった要因の1つに、省庁の縦割り構造の弊害がある。放射線による健康影響の調査などについては、環境省が受け持っている。住宅支援、仮設住宅に関しては厚生労働省が担当していたものが内閣府に管轄が移った。被災地の公営住宅に関しては、国交省の管轄下にある。

 復興、被災者の支援を第一義とし、スムーズかつスピーディに進まなければならない局面でも、各省庁の立場を守ろうとしていることが、被災者の声を十分には汲み取れないことにつながってしまった。省庁が作ったものではなく、被災者の意見を十分に反映させた「被災者による、被災者のための支援法」であるべきはずが、そうはなっていない。

東日本大震災から2年7カ月が経つが、非常事態に際し、復興に向かうための一枚岩のチームを柔軟に組織できなかったことが、復興を遅らせた。復興庁の存在も、被災者を効果的かつ全面的に支援することにつながっていない。

 基本方針に関して、復興庁は、各省庁との協議、調整に時間を要したばかりでなく、もっとも重要視されるべき、被災者の声も十分に反映させることができないまま閣議決定に至った。放射線量での線引きがなされなかった要因には、復興庁と環境省との調整がうまくいかなかったことが背景にあると見られる。

 復興庁の担当者は、「復興庁の立場が上位に位置付けられているので、以前よりはだいぶやりやすくなっている。それでも、縦割りの弊害が感じられる。夜を徹して各省庁とやり合ってきたが、被災者の声の反映は不十分で申し訳ない」と話した。

【岩下 昌弘】

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