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「NISA」(ニーサ)に潜むリスクを検証する(7)
経済
2014年1月22日 10:01

 ラップ口座の投資は、「リスクの高い株式:リスクの割合が比較的低い公社債:現金の組み合わせ」となっている。比率を4:5:1とか、5:4:1、リスクウエイトを高めたいと思えば6:3:1などを顧客が1年毎に決める契約となっている。各証券会社は「ラップ口座」は投資顧問が厳選した優良な投資銘柄に分散投資、いわゆる「ラップ」された安全な資産運用であることをキャッチフレーズとして勧誘していた。
 「NISA(ニーサ)についても、証券業界はアベノミクスの追い風によって株価は今後更に上昇すると囃し立てて勧誘しているが、本当にリスクなしに株価は上がり続けるのであろうか。

 下表1はラップ口座が規制緩和された2004年を起点とした日経平均株価(年次)。2年半後の2006年にピークを迎えるが、4年後の2008年末にはリーマンショックという外部的な要因によって8,859.56円に下落し、ラップ口座で運用していた個人投資家は期間中の利益だけでなく初期投資した元本までもが、大きく毀損することになったのだ。

表1

 下表2は2007年の日経平均株価(月次)であるが、株価は一進一退の神経質な相場が続き年末は前年比▲1,918.05円と低迷。

表2

 表3は2008年の日経平均株価(月次)である。9月に起きたリーマンショックの影響を受けて、年末の株価は前年比▲6,448.22円と大幅な下落となり、以後4年近く第二次安倍政権が誕生するまで株価は低位に推移することになる。

表3

 上記の表から読み取れるように、規制緩和された「ラップ口座」は、2004年から2006年まで運用成績は順調に推移していたが、その後は厳しい局面に遭遇することになる。と言うのもラップ口座は毎月運用成績の報告をすることが義務付けられており、株価があまり動かない場合や下落局面が続くと、含み益のある株を売って表面上の運用成績を上げるようになっていくからだ。
 ここで一任勘定であるラップ口座の問題点が浮き彫りとなる。証券会社は何もせずにじっとしていれば売買手数料が入らないし、株価は下がり含み損が膨らむというジレンマに陥る。
 相場全体が下落傾向となると、売買を繰り返す毎に含み損が発生するという負のスパイラルに陥り、証券会社と投資家とのトラブルが頻発するようになった。日経平均株価の推移を見返すと、NISAにも既にそのようなトラブルの芽が潜んでいるかもしれない。

(つづく)
【北山 譲】

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