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「NISA」(ニーサ)に潜むリスクを検証する(8)
経済
2014年1月23日 07:00

 個人投資家は、一任勘定が認められたラップ口座の欠陥によって大きな損失を出したが、個人投資家対証券会社間のトラブルとして処理され、社会問題化することはなかった。
 しかし今年1月6日にスタートした「NISA」はラップ口座が登場した時とは違い、アベノミクスという錦の御旗を掲げての登場であり、安倍首相が主導する経済政策の可否を問う役割をも担っている商品と言える。

 株価下落という大きなリスクが潜んでいるにもかかわらず、今まで株式投資に無縁だった視聴者に、「ニーサ1万円でも始められるのですか。やったー!私、投資家デビュー!」と甘い言葉を投げかけて勧誘しているが、あたかも政府と証券会社・銀行がグルになって、善良な老若男女を賭場に誘う図式のように思える。
 NISAは上場株式に認められていた優遇税制を廃止する見返りとして誕生した。しかしその裏には財務当局が仕組んだしたたかな罠が透けて見える。上場株式の配当金などにかかる税率を預貯金と同じ20%にすれば、国の税収は毎年2,000億~3,000億円規模の財源が捻出できると踏んだからだ。 
 
 21世紀をまたぐ2000年12月末~13年の間、年末の日経平均株価が最高値を記録したのは下表の通り、第1次安倍内閣が発足した06年の17,225.83円であった。また2番目に高いのも昨年12月30日の16,291.31円で、いずれも安倍政権下である。因みに2000年~13年の14年間で日経平均株価が最低になったのは、東日本大震災があった11年で、民主党政権の野田毅内閣の8,455.35円である。

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 安倍内閣の時に株価が上昇しているのは間違いのない事実である。ただ第1次安倍内閣は1年の短命で潰えたが、第2次安倍内閣は順調にスタートしており、首相の顔色を見る限り体調は良さそうだ。ただ問題は4月からの消費税引き上げによる景気停滞を如何に乗り越え、力強く日本経済を再生させるかにかかっている。その成否を占う試金石となるのがNISAではなかろうか。

 安倍内閣の掲げる成長戦略によって株価が順調に上がっていけば、政権基盤は更に強固のものになるが、もし下落して大きな損失を生むようなことになれば、NISAによって政権基盤が命取りになることも考えられる。証券市場という賭場に「にわか投資家」を客としていざなう安倍首相にとっても大きな賭けと言えるかもしれない。

(つづく)
【北山 譲】

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