「親日」「親台」で日本と台湾が良好なムードにある。「台湾人に仲良しが多い」「日本人は良い友達」とお互いがお互いのことをやたらと褒め合う傾向にもあるが、それはやはり薄い関係しか築いてない人間たちの文言のようだ。国境を越えた間柄で、関係性は、そんな「きれいごと」ばかりでは成立しない。仕事などで長く接すると、どうしても国の違いにおける性格上の「ずれ」「ひずみ」が生じる。
民族性に起因するものも。ある台湾に精通するジャーナリストによると、「日本人」について多くの台湾人が潜在的に感じている欠点は「よそよそしい」「ユーモアがない」などであるが、逆に「台湾人」に関して日本人が思う欠点は、「口の軽さ」だと言う。
「日本人のよそよそしさ」というのは世界レベルで認識された概念とも言える。「他人との距離感を確実に取る」がゆえに起こる。
一方で、台湾人の「口の軽さ」とは「平気で人のプライバシーを話す」「仕事上知り得た知識を他人に話す」「仕事と個人の見境がない」などである。
ある台湾在住の日本人ビジネスマンによると、台湾人は仕事上の付き合いにおいても「他社の情報をよく漏らしている」「あれだけ平気で漏らすのだから、我が社のことも漏らされているのだろう」という印象を持っている。またある日本の芸能人は台湾のホテルに泊まった際、フロント係員から「テレビに出ている○○さんですよね」と聞かれ、非常に不快な思いをしたそうだ。
A社の社員からもらった名刺をB社の人間に軽々しく見せること、これも台湾人の「悪しき風習」と日本人は見る。名刺は「公開文書」ではなく、あくまで1対1のシチュエーションで渡されたもの。日本人は「プライバシー感覚」をかなり注意するが、台湾人はそこまで注意しない。日本人と台湾人の相違は「プライバシー感覚」の差異によるものも大きい。フェイスブックなどで「今どこにいる」「誰といる」機能は日本人の場合、同じ空間を共にする人間のことを気にするが、台湾では平気でアップしてくる。「口の軽さ」は、「プライバシー感覚」の差異や、「情報」というものに対する認識の違いだと言う。
「個人的な付き合いだと思って話したら周囲に言われた」というのは日本でも時折あることだが、「台湾では日常茶飯事」だと日本人は心得ておいた方がよいかもしれない。口止めしても、「口止めしたこと」さえも他言される傾向があるので、さらに注意が必要だ。
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