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「林原家」から学ぶ~同族経営の蹉跌(9) 
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2014年7月 7日 07:00

◆皮肉にも借入金の残高修正が林原倒産の引き金となった。メイン行の中国銀行に出す書類には中国銀行の融資残高を正確に記し、準メイン行以下の住友信託銀行などの融資残高を少なめに記し、住友信託銀行に出す書類には同行の数字を正確に記入し、中国銀行の融資残高を少なめに残表(銀行取引残高表)をそれぞれの銀行に提出していたからだ。

b_18.jpg 債務超過で自転車操業状態の林原が資金繰りに窮し、中国銀行、住友信託銀行などに追加融資を申し込んだため、両行は情報交換のため互いに把握している数字を照合した結果、融資残高がそれぞれに違っていたことが判明。粉飾決算が発覚したため、両行とも追加融資に応じず、抜け駆けの追加担保を徴求。この借入金の残高修正を機に銀行の林原を見る目が急変し、やがてSDR申請へと進むが、金融機関の足並みが乱れて不調に終わり、会社更生法の申請へと一気に倒産へと進むことになった。

・SDRが不調に終わったのは449億円ものを融資しているメインの中国銀行や、280億円を融資している準メインの住友信託銀行が、担保の先駆け徴求したことなどが他行の不信を買ったことが大きな要因となった。

・中国銀行は2011年3月29日開いた取締役会で永島旭頭取が退任し、宮長雅人常務取締役が頭取に就任する人事を発表。林原の破綻をめぐって行内で経営責任を問う声が強まり、6月に代表取締役の永島頭取、剣持一専務の2人は退任し、泉史博副頭取は代表権のない会長に就き経営陣一新でけじめをつけるという激震が走った。

・代表取締役が総退陣するという異例の人事の背景には、林原が長期間にわたり決算の改ざんを見抜けなかった中国銀行に対し、融資をしていた他の金融機関から監督責任の声が上がったことが影響したと伝えられている。

 林原は中国銀行と住友信託との話し合いのなかで、決算書の改ざんが判明したが、余談だが他でも判るケースを紹介しておきたい。

 林原が県の保証協会付融資を受けることはなかっただろうが、保証協会を利用して粉飾が判明する場合がある。例えばある企業がAの銀行経由で提出した決算書と、Bの銀行を経由した決算書の内容が違っているため、保証協会で粉飾決算が発覚するケースだ。当然保証が下りず、最悪の場合倒産に至ることもある。資金繰りの厳しい経営者が保証協会を利用する窓口は、「必ず一行にしている」と言った言葉が思い出される。

 中小企業の場合、08年のリ-マン・ショック後の09年11月に成立した「中小企業金融円滑化法」、いわゆる返済猶予法により倒産を免れた企業は多い。
 しかし金融庁は14年3月に入って、中小企業金融円滑化法に基づき返済猶予を受けてきた中小企業に対し、転廃業を促す方針に転換した。金融機関への立ち入り検査でこれまでは返済猶予を求めてきたが、無条件で返済を猶予するのではなく、金融機関が抜本的な企業再生に取り組むよう企業を指導していくことを求めている。中小企業も第2の林原にならないように抜本的な経営の改善を求められることになる。

(つづく)
【北山 譲】

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