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特別取材

欧州に見る“都市と空港”良好な相互関係を探る(1) | スペシャルプログラム
特別取材
2008年2月 8日 15:00

「国土の均衡ある発展」という考え方は、人口が減少し、税収も減少(逆に国の債務は増加)している現在の日本において、ある意味では「過去の遺物」と化している。それを背景にうたわれている「地域の個性ある発展」。空港は地域の個性ある発展を目指すうえで、重要な要素となる。福岡空港も例外ではない。私たちの住む福岡と福岡空港の良好な関係とは。


ナショナル・ミニマムからローカル・オプティマム

 日本の国土政策において、「国土の均衡ある発展」という考え方が基調をなしてきた。その旗印のもと、道路整備、整備新幹線、そして空港などの各種交通インフラが要、不要を問わず建設されてきた。
 しかし本来、この言葉に、すべての地域があまねく発展するという意味合いは無かった。にもかかわらず、さまざまな使い方がなされ、混乱をもたらしてきた。広義のナショナル・ミニマムと同一視されることもあった。国は「国土の均衡ある発展」という言葉を振りかざして地方への関与を強める一方、地方側は国に依存する結果となったことは否定し得ない。日本において地方分権が進まないのは、「国土の均衡ある発展」という理念に対して、国・地方の双方が過度にコミットしすぎていた面もある。

 最近になって、「国土の均衡ある発展」の代わりに「地域の個性ある発展」、ナショナル・ミニマムの代わりに「ローカル・オプティマム」という言葉が使われるようになっている。「地域の個性ある発展」という考えは、政策目標というより、個別の政策目標を総称した表現とみなす必要がある。ただ、ローカル・オプティマムの考えが登場しても、ナショナル・ミニマムの考えが無くなるわけではない。ナショナル・ミニマムを維持しつつ、地方が自らの責任と選択によって「ローカル・オプティマム」を設定できるよう、税財源をも含めた地方分権を進める必要がある。

 そして、「地域の個性ある発展」のために最も必要な「人」の交流を担保するために不可欠なファクターが空港である。その点で、日本が学ぶべきは、「地域の個性ある発展」のために「都市と空港」の良好な関係を築いている欧州だ。


二層の広域連携における空港の役割

 「ポリセントリシティー」という言葉は、EU全体のバランスある発展を考えるときの基本用語になっている。この考え方は日本の国土政策にも使われており、二層の広域連携と和訳されている。二層の広域連携とは、地域がそれぞれの特徴を伸ばしながら、中核都市を中心に、周辺の都市ができるだけ高密度に高速度に結び付くような交通体系をつくり、そこに外国に直接結び付く空港、港湾をつくることによって、世界と結ぶことである。 

 地域は地域で独立し、直接外国とつながることによって、生産性を上げることができる。また、地域の空港、港湾も直接海外と結び付き、東京を経由しない自立した地域、経済活動をどのようにつくれるかということが、重要なテーマともなろう。

 欧州では、通貨が統合され、都市の広域連携が盛んに行なわれるようになった。一人ひとりのテリトリーをできるだけ拡げることは、地域の中で移動できる距離が長くなること、そして、移動するための時間が短くなることで、密度を高め、経済活動量を増やすことができる。ひとつひとつの都市がそれぞれ自立していて、横に高密度につながるというメカニズムをつくろうというのが欧州的な考え方であり、大都市でなく中小都市の連携というイメージである。つまり、地域の資金が直接的に海外投資と結び付くようなメカニズム、しかもその地域にとってもっとも身近な海外と結び付くということができないかということであり、このメカニズムの中核をなすものが「空港」なのである。


つづく

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