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大東建託株をファンドに売却する 創業者・多田勝美会長の思惑(2) | 東京レポート
特別取材
2008年2月13日 09:43

改正保険業の衝撃

 2006(平成18)年4月、改正保険業が施行された。これが賃貸不動産業界に大きな衝撃を与えた。賃貸アパート経営者の家賃収入などを保障する共済制度は、広く活用されてきたからだ。保険業の改正により、無認可の共済は、今年3月末までに、(1)保険会社として経営する、(2)小額短期保険会社(ミニ保険)として経営する、(3)廃業・合併する--の3つの選択をしなければならなくなった。

 大東建託が行ってきた家賃保証システムは、共済制度によるものだ。賃貸住宅オーナーから集められた共済金によって保障されていた。つまり、アパートの空き室時には家賃を保障しますといっても、保障のリスクは賃貸アパートのオーナーが負う仕組みになっていた。大東建託は家賃の保障リスクを切り離すことができたわけだ。

 この共済制度「大東共済会」が、改正保険業法の規制対象になった。大東建託では規制に対応するため、保険会社設立を検討してきたが、コスト(ちなみに保険会社は、最低資本金10億円以上、年間保険料収入50億円以上)面から、それを断念した。

ビジネスモデルが崩壊

 そして今年3月末に大東共済会を清算、連結子会社である大東管理による一括借り上げ方式へと移行することになった。この借り上げシステムは、期間が30年。賃料などの条件は、建物完成後10年間は固定として、以後5年毎に見直すものとされる。

 大東建託が郊外の地主に賃貸アパートを建築させる決め手は、家賃を保障すること。地主は保障をよりどころにして、空き地にアパートを建てるのだ。賃料保障は、従来では共済制度なので、オーナーから集めた資金を原資にして、大東建託が負うことはなかった。

 しかし、一括借り上げ方式では、大東建託がリスクを負う。空き室が増えると、コストはとてつもなく膨らむ。しかも、アパートのオーナーにもメリットはない。保障コストを切り下げるため、10年後からの保障賃料は恐ろしく低いものになるからだ。うまみが消えるアパートオーナーの不満は爆発。賃貸アパートの経営が、おいしいサイドビジネスにはならないのである。

 保険業の改正で、近い将来、大東建託に急成長をもたらしたビジネスモデルが崩壊するのは確実。だから、業績が絶好調で、つまり株価が高いうちに、保有株をすべて売却することにした、というわけだ。多田氏が保有株を売却すれば、約3,000億円のキャッシュが転がり込んでくる計算になる。

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