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よみがえる大連立構想 | 政界インサイドレポート
特別取材
2008年2月 4日 16:33

◆”死地”を脱した福田

「つなぎ法案は審議を一切しないで増税する法案だ。もし可決していれば福田内閣は持たなかっただろう」
 民主党の菅直人・代表代行はそう喝破した。まさにその通りだ。
 自民党がガソリン税の暫定税率引き下げを一時的に阻止するために提出したつなぎ法案をめぐる与野党の激突は土壇場で回避された。もし、強行していたら、福田内閣は総辞職に追い込まれていた可能性もある。
 それというのも、自民党内には野田毅・元自治相ら大蔵族の大物議員をはじめ、石原伸晃、河野太郎氏など若手議員たちにつなぎ法案への反対が強く、本会議採決で大量の造反者が出る動きがあったからだ。

「衆院本会議では党内から20人以上の欠席や棄権が出るのは確実な情勢だった」
 造反者の票読みをしていた自民党若手議員の一人はそう振り返る。
 その場合、衆院での可決はできても、民主党が参院で否決した後、衆院の3分の2で再可決するのはまず不可能だ。そうなると、福田内閣は解散もできず、政権を投げ出すしかない。与謝野馨・前官房長官が官邸に福田を訪ね、採決を思いとどまるように進言したのも、党内の不穏な動きをつかんでいたからだ。

◆敵に塩を送った小沢

 福田首相の窮地をすくったのが小沢一郎・民主党代表だった。
「議長斡旋を蹴るな」
 小沢は与野党幹事長会談に臨む鳩山由紀夫・幹事長に妥協を指示した。
 確かに、つなぎ法案が成立したら、予算関連法案の参院審議を引き延ばして4月1日からガソリン価格を値下げさせ、総選挙に持ち込むという民主党の戦略は空振りに終わる。 その一方で自民党に造反が出れば、政権のダメージははかりしれない。民主党内には、「自民党が強引に衆院を通せば、参院ですぐに否決して国民にうちの姿勢を示せばいい」という声があった。いわば、”肉を斬らせて骨を断つ”戦法だ。

 それなのに、小沢、鳩山ら民主党の首脳部は自民党の強行採決姿勢のブラフに屈したかのように、「予算関連法案を年度内に採決する」という条件を受け入れて両院議長の斡旋案を受け入れた。
「政府・自民党は4月1日のガソリン値下げを阻止した上に、無理筋のつなぎ法案を撤回できて国民の批判を浴びずにすんだのだから丸儲けだ。民主党が一方的に譲歩した形の妥協だった」(民主党参院幹部)

 なぜ、小沢氏は福田首相を助けたのか。

◆「大連立」の思惑

 つなぎ法案の一件以来、自民、民主両党に「話し合い」のムードが急速に高まっている。
 菅氏は表向きは古賀誠氏、二階俊博氏らとの「利権顔」論争でバトルを演じているように見えるが、ガソリン税について、「法案修正はゼロか、100かではない。1から99まである」と、与野党協議による予算関連法案修正に意欲を見せている。

 自民、民主の若手議員の間では、ガソリン税を道路建設以外にも使えるようにする「一般財源化」に向けた超党派の勉強会結成の準備が水面下で進んでいる。
 さらに自民党と公明党は、自衛隊の海外派遣のルールを定める「恒久法」制定の与党プロジェクトチーム(山崎拓・座長)を2月6日に立ち上げるが、民主党も対テロ新法の対案にこの恒久法制定の必要を盛り込んでいる。

「まずはガソリン税、次に恒久法、さらに年金など社会保障制度の見直しで与野党の協議に進めば、いずれ大連立の機運が高まってくる。両党ともその可能性を模索し始めた」
 自民党役員の一人はそう語る。
 だとすれば、小沢氏が対テロ新法の採決を欠席したのは、大連立の可能性を残しておくための布石だったと思えなくもない。
 与野党の緊張緩和で今のところ解散は当分、遠のきそうなムードだが、国民の批判が強い大連立はそう簡単ではない。
 政界は必ずまた揺り戻しが起きる。
 

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