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「戦い」を支えたのは一級建築士としての誇り(補遺) 百人百様の設計思想 | 建設業界への提言
特別取材
2008年2月15日 11:36

 先日、仲盛氏から、「エイルヴィラ門松ウエストサイド」裁判の資料として、2月12日に提出された準備書面をいただいた。氏は、これが最後の文章のつもりで書いたという。以下、要約して氏のメッセージとしてお伝えしたい。

 「構造設計における地震時応力の割増し指導に関する福岡県建築指導課の回答では、『審査基準』ではなく、『行政指導』として行なっていたとされている。この福岡県による『行政指導』は、慣習的に行なわれていたように記憶しているが、行政指導の明確な基準や書式も存在せず、福岡県の回答にあるように、『法的根拠はない』と、多くの構造設計者も認識していたはずだ。

 私に課せられたのは、当該マンションの耐震強度が十分であることを、住民の方々のために立証することだと思っている。それ以外の事には関知しないつもりだ。その思いで、現在までこの裁判に関わってきた。

 サムシングの構造計算書が、部分的に一貫性に欠けていたことがあったことは認めている。しかし、当該物件の設計当時、一貫性は求められてなかった。そのため、昨年の法改正で一貫性を求めるように改められた。

 ちなみに、昨年の法改正後の建築確認においては、1.25倍の応力割増しは設計者の設計思想によるとの認識で進められている。私は現在、協同組合建築機構一級建築士事務所の管理建築士として設計を行なっている。この組合は昨年10月、一級建築士事務所として福岡県に登録しており、建築確認の実績もある。

 私の設計思想は、現在でも基本的に同じ。ただし表現手法に関しては、現在の社会的時流に沿っている。原告側の準備書面の内容は、入り口の数字が根本的に違うため、結果も異なり、枝葉の問題に過ぎない。一部のマニアックな設計思想だけを拠り所にして判断を下すことは如何なものか。建築物の終局の安全性を論じる時に、論じる人の主観を交える事自体が不自然だ。

 真の耐震強度は、一つしか存在しないはず。この最終強度を見つけることが、現時点では不可能であるので百人百様の設計思想が存在するのだ。

 また原告側から、私の計算書に対する法的根拠に基づく反論はないのか?たわみの計算における積載荷載の取り方などは、私の意見を肯定していながら、言い訳を並べているに過ぎない。

 当該マンションにおいては、施工不良により、梁や床の断面が小さくなっていることが明らかになっている。鑑定は、こういった現状に即して行なわれるべきではないか。断面不足の建物が安全であるかどうかを、住民に示す事が先決である」。

 以上が氏のメッセージである。これを読んでどのように感じるのかは、各人の判断に委ねたいが、現在の混沌とした状況をうかがっていると、この裁判は一体何を生み出し、何を得られたのか、改めて考えさせられた。


[プロフィール]
仲盛 昭二 (なかもり しょうじ)

協同組合 建築構造調査機構 一級建築士事務所
参事(技術担当)
1951年2月8日、福岡市博多区生まれ。
九州産業大学卒業後、日本建設(株)に入社。
1978年、独立し、昭和設計事務所を創業。
1980年2月、設計工房サムシング(株)を設立し、同社代表取締役に就任。
2002年9月、サムシング廃業。
その後の現在に至るまでの詳細は、本文にて紹介。

▼共同組合 建築構造調査機構
http://www.asio.jp/

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