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福岡への提言(1) アジアと時代を意識した都市作り/森永卓郎
特別取材
2008年3月11日 14:21


話者紹介:

森永 卓郎(もりなが たくろう、1957年7月12日 - )は、日本の経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。元三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部長。専攻はマクロ経済、計量経済、労働経済、教育計画。社会民主主義者。東京都出身。オフィストゥーワン所属。父親は獨協大学外国語学部教授であった森永京一。


 随分前から日本の貿易の最大相手国は中国になり、全体の経済の流れからいっても今後はアジアが圧倒的に強くなるでしょう。地理的条件だけをみれば、沖縄は非常に競争力があるといえます。単純にアジアに近いし、自然環境にも優れ、住んで遊ぶだけだったら楽しいのは沖縄でしょう。しかし沖縄は都市機能の集積が無くビジネス・インフラが構築できていません。都市基盤という面では、福岡は沖縄を圧倒的にリードしているでしょう。そう考えると福岡は日本で一番ポテンシャルをもっている都市と言えます。

 これから知的情報化が進み、都市の競争力となりえるのは、皆が住みたい街と思えるかどうかです。福岡について懸念していることは、街が大きくなり“飲んで家に歩いて帰れる距離”という概念が崩壊してしまう事です。福岡の場合、親父が行く従来型の飲み屋の集積としては完璧と言えるでしょう。食べ物も美味しいし、値段もそれなりにお手頃。これは、誰もが知る福岡の魅力です。ただ一方で、これは従来の概念から飛び出していないとも言え、そういう意味では産業構造が時代から置き去りになっています。

 福岡が競争力を持つ地方都市として機能するためには、もっとアジアの国々から観光客・ビジネス客を集める仕掛けも必要でしょう。たとえば、私はここ10年くらいオタクの世界を追い続けていますが、現在、秋葉原のようなオタク文化の集積は、大阪の日本橋、名古屋と札幌に数店舗あるだけです。
 2001年11月、大阪・梅田にヨドバシカメラが出店してきたことで、従来からあった日本橋の商店街はシャッター通りと化していました。現在ここはオタロードと呼ばれ、メインのストリートには空きが無いほどオタク文化が集積しています。おそらく商店街の活性化でここまで劇的に復活した例は他にないと思います。

 この大阪・日本橋オタロードでの商店街再生の一番の功労者は武内博という人でしょう。武内氏は「ああとあいてぃ」という会社を設立してオタマップ(日本橋発の萌え系フリーマガジン)を片っ端から店に置いて案内したり、東京との人脈を作ってオタク関係の出店のコンサルティングなどを積極的に行ってきました。
 先日オープンしたばかりの大正ロマンの足湯屋さんは、大正時代の格好をした女中さんとお茶を飲んでお話しするだけの店。このお店では、木の桶に天然温泉を持ってきて女中(メイド)さんと一緒に足湯に入れるという実にくだらない仕掛けが人気を集めており、現在では予約がなかなか取れない状況になっています。 これからの街作りには、このように時代を反映した発想や仕掛けも必要ではないでしょうか。(つづく)


森永卓郎 HP
http://www.rivo.mediatti.net/~morinaga/takuro.html

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