NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

介護・福祉特化戦略が奏功 業界トップシェアを確立 (株)エス・エム・エス (下) | 企業研究
特別取材
2008年5月23日 10:01

社員を財産と考える

 社員を財産と考える同社では、「人財」という表記を用い、ユニークなバックアップ施策を行なっている。仕事面では、「新規事業提案制度」。毎月1回、全社員が新規事業を考えるイノベーションタイムに全スタッフが取り組み、その時間を使って考え出された新規事業案を誰でも会社に提案することができる。認められたアイデアは、東京・麹町にある新規事業専門のオフィス「イノベーションオフィス」でマーケティングが進められ、事業として育つ伸びしろがあり、高齢化社会に貢献できるインフラ構築事業であると判断されれば、新規事業提案をして手を上げたスタッフ自身がその事業の責任者となり、事業運営を行なうことが可能となっている。
 また、年間の業績優秀社員を年間BMP(Best Matching Person)として表彰し、MBA留学またはアントレプレナー職への昇格を選択できる制度を導入。MBA留学では、半年から1年程度の語学研修、2年間のMBA留学の学費、3年分の給与を会社から支給している。また、アントレプレナー職を選択すれば、1年間の海外視察を含めたリサーチ・試験運用を実施後、新規事業の創出・運営に携わることができる。

 待遇面でも、会社利益の約30%を全社員へ還元する「利益還元制度」があり、給与も新卒の初任給400万円(年俸)、入社2年目には500万円(年俸)に昇給する高待遇を実現している。勤務時間が特別長いわけではなく、残業したとしても20時45分までには必ず退社、振替休日を取らない休日出勤は減俸というルールが決められているほど。
 現在、同社に勤める従業員数は207名(08年4月1日時点)。設立当初から考えると、わずか5年足らずで急激に人員を増加させており、今後も成長に合わせて人員拡大を図っていく計画となっている。今後も成長を続けていくためには、より良い人財の確保・育成が急務となってくるのは確実。マザーズ上場で、これまでの社員に対するさまざまな施策がやりにくくなり、人材の確保が難しくなることが懸念される。

業界の動向と今後の課題

 09年3月期の業績予想は、売上高で28億1,800万円の前年同期比82.3%増、経常利益で3億4,300万円の同27.6%増、当期純利益2億300万円の同29.3%増と、これまでと同様に大幅な増収増益を見込んでいる。すでに、08年4月から管理栄養士・栄養士向けのコミュニティサイト「Foodish(フーディッシュ)」もスタートさせ、既存事業とシナジー効果が得られるような新規事業にも積極的に取り組んでいる。
 総務省の推計によると、07年7月1日時点での高齢者層(65歳以上)人口は2,726万人に達し、人口構成比では21.3%となっており、日本の高齢化は引き続き進行している。2035年には、日本国民の3人に1人が65歳になるとまで言われており、介護関連事業は、さらに社会にとって必要不可欠なものになってくることが予想される。

 そのなかでも、業界の成長企業の筆頭である同社の動向には注目が集まる。08年3月のマザーズ上場で、従来の社員に対するさまざまな施策だけでなく、株主に対してもメリットを与えられるような方針を打ち出していくことが求められる。ただ、その施策次第では、これまでの成長速度が鈍化していくことも懸念される。そのため「人財」と「株主」の両方に有益な経営戦略を打ち出し、今後も福祉・介護業界の成長に寄与することを期待したい。

関連記事

powered by weblio


特別取材一覧
特別取材
2011年6月24日 07:00
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル