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特別取材

広がるレイコフショック 不動産ファンドの行方は(上)
特別取材
2008年7月22日 13:10

 「レイコフショック」がじわじわと不動産業界に広がっている。大阪証券取引所の新興市場ヘラクレスに上場していた不動産ファンド運営会社、(株)レイコフが3月に420億円の負債を抱えて民事再生手続きを申請した。不動産業界は、レイコフがこれまでに数多く組成してきた不動産ファンドが果たして「デフォルト」しないかどうかを注視している。

「土地転がし」を常習化

 暴力団関係者を地上げに使ったうえ、経営破綻した(株)スルガコーポレーションのあまりの強烈さの陰に隠れがちだが、大証ヘラクレス上場の(株)レイコフ(4月21日に上場廃止)の問題を無視することはできない。

 レイコフとは、大阪に本社をおく新興の不動産投資ファンド運営会社だ。創業者の山本誠氏は大阪大学工学部建築工学科を卒業。不動産鑑定士と一級建築士の資格を持ち、不動産の「目利きのプロ」を任じてきた。

 その主たるビジネスは、レイコフがあらかじめ取得していた東名阪のマンションを、グループ企業が組成した投資ファンドに転売するというものだった。投資ファンドに出資する投資家さえ確保できていれば、地価上昇の前に安く手に入れていたマンションを高値でファンドに転売するだけで儲けが出る。いわばグループ内における、「土地転がし」を常習的に繰り返してきた会社だった。

山本氏の誤算

 レイコフの不幸の始まりは、「目利きのプロ」たる山本氏が、次は地方都市のビジネスホテルが当たる、と見込んだことだった。2006年末頃から盛岡や秋田、松本、松江などにビジネスホテルを取得していったのだが、折悪しく米国発のサブプライム危機が発生。金融庁の指導によって銀行の融資姿勢が厳しくなったため、レイコフは自己資金をホテル買収に振り向けることとなった。それでも稼働率が高ければまだ良かったが、秋田などは稼働率が20%台に低迷。「目利き」はまったく外れた。ホテルファンドを組成して、そこに転売しようとしたが、不動産市況に暗雲が立ち込めるなか、地方の中小ホテルにカネを出そうという奇特な投資家はいなかった。結局ホテルファンドは組成できず、転売できないまま資金繰りが悪化し、債務超過に陥ったのである。

 レイコフはこのホテルファンド以前に、東名阪の三大都市のマンションを組み入れた不動産ファンドを03年6月頃から順次組成してきた。たいてい1つのファンドに5、6棟の住居用マンションが組み入れられ、1つ当たりのファンドの規模は35~40億円程度だった。こうした不動産ファンドをレイコフは30本ほど組成してきている。

 問題なのは、ファンドへの資金の集め方だ。山本氏は手っ取り早く投資家から資金を集めようと、証券会社の店頭を通じて小口の個人投資家のカネを集めることを考えついたのだ。通常、こうした不動産ファンドが不特定多数の投資家から資金を集めるには、審査を受けて上場して、財務データもきちんと開示することが義務付けられる(例:JREIT)が、山本氏が狙ったのは私募形式である。レイコフがヘラクレスに上場した際に世話になった副幹事証券会社の高木証券を通じて、これまでに組成した約30ファンドに小口の投資家を募ってきた。その数は約1万5,000人。総額約1,600億円に上る。

※高木証券の高は「はしごだか」
 

つづく

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