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不況期は、最大のビジネスチャンス ジョイント・コーポを救済したオリックスの狙い(下) | 東京レポート
特別取材
2008年9月30日 09:30

インサイダー取引疑惑

 オリックスによるジョイントのM&Aは、思わぬ方向に発展した。インサイダー取引疑惑である。資本提携発表の数日前、ジョイント株は凄まじい乱高下をして、異常な出来高を記録した。
 新興不動産株は資金繰り難に伴う倒産リスクを懸念して、9月に入ると、急激に値を下げた。9月4日の木曜日、ジョイント株は前日の終値より20円安い80円の始値ではじまった。「週末にも倒産か」の観測が市場を駆け巡ったのは、この時だ。

 売りが殺到。いったんは80円という上場以来の最安値をつけた。その後、株価は急騰。その日のうちに150円の高値をつけ、終値は126円。出来高は1,743万株。通常の出来高300万株程度の5倍以上を記録した。翌5日の金曜日は、始値121円、高値155円、終値141円、出来高1,105万株。激しく乱高下した。
 週が明けた8日の月曜日の終値は、金曜終値の141円から191円まで50円跳ね上がった。ジョイントがオリックスとの資本提携を発表したのは、その日の取引が終了した後の3時半である。

 オリックスによる救済支援を好材料に、ジョイント株は急上昇。12日の金曜日には412円の高値をつけた。わずか1週間で、80円の最安値の株価が412円の高値と6倍以上の暴騰。最安値で買い、高値で売り抜けていれば、1株332円を荒稼ぎした計算だ。
 株価の急上昇は、金融庁が銀行に対して、借り手企業に円滑な資金供給を促す方針を打ち出したことが好感されたと解説されたが、ジョイント株については明らかに違う。
 オリックスが買収するインサイダー情報をつかんだ勢力が、倒産情報を流して株価を引き下げて、ジョイント株を安値で購入。買収発表後に株価が急騰し、高値で売り抜けたというのが真相だ。誰が、どの勢力にインサイダー情報を流したのか。ジョイント株をめぐるインサイダー取引疑惑の闇は深い。


オリックスの逆張り商法

 オリックスは筆頭株主になって、持ち分法適用会社に組み入れたとはいえ、ジョイントを丸抱えして支援することはさらさら考えていない。資本参加は「あくまで純投資」。狙いはジョイントが保有している優良物件だ。
 オリックスは08年中に、国内の不動産物件に合計3,000億円を投資する方針を打ち出した。投資対象は三大都市圏のオフィスビルや賃貸マンション、ホテルなどの商業施設。同グループの不動産投資は年間1,000億円程度だったが、今年は3倍増に積み増した。

 米国発の金融不安の影響で、不動産に流れ込むマネーが急減。積極的な土地買いを進めてきた新興不動産業界では、破綻が相次ぐ。資金不足に陥った不動産ファンドや新興デベロッパーが不動産を手放した。売却物件が急増し、地価の下落に拍車がかかった。
 これを好機到来と判断したのがオリックスだ。他社が買い姿勢を控えているいま、買いの攻勢に転じた。先んずれば人を制すである。
 株式取引では、株価が下落しているところで株を買うことを「逆張り」という。株価が反発して、上昇した時に、売り抜ける手法だ。オリックスは、不動産投資で「逆張り」を張ったのである。

 この「逆張り」が、ジョイントをM&Aした理由だ。ジョイントは、銀行への資金返済のために、再開発中の物件を売却する。今後2年間で1,000億円の資産圧縮を行う方針だ。1年前に比べて3~4割価格が下落した優良物件も少なくない。それら物件を買い取ってジョイントの資金繰りを支援する一方、地価の反転上昇によって利益をあげることを狙っているのだ。
 思惑通り、地価は値上がりするか。証券市場の評価は厳しかった。ジョイントのM&Aを発表した後、オリックスの株価は費用負担増が売り材料となって値を下げた。9月18日の株価は1万1,500円と年初来安値をつけた。

(日下 淳)

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