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【倒産を追う】勝者無きクーデター | インベスト総括(1)
特別取材
2008年10月 1日 09:45

 9月18日、会社更生法を取り下げて民事再生法の適用を申請した(株)インベストの債権者説明会が開催された。6月29日のクーデターに端を発した破綻処理が最終局面に入ったかたちだが、会社が断末魔を迎えようとしているなか、経営権を巡る壮絶な争いが行なわれた特異な例として、地場企業に強烈な教訓を残すことになった。

見えない再建方法

 早川氏が説明会会場に選んだ「KKRホテル博多」は、かつて小笠原氏が会社更生法の発表の際に用いた場所でもあるため、債権者は2カ月前の光景と重ね合わせていたに違いない。出席者にとって意外だったのは、人数の少なさだろう。前回、およそ500名が押し寄せたが、今回は約100名で空席が目立った。企業関係者はほとんど欠席のようだ。そのうちの1社は「個別にさまざまな交渉をさせていただかなければならない。交渉相手もインベストを含めて複数に及ぶのではないか」と話し、すでに具体的な処理の段階に入っていることが窺われた。裏を返せば、参加者たちは何としても早川氏と対峙する必要があった。

 壇上に並んだのは、早川氏と4名の申請代理人弁護士、そして新たに選任された監督委員の弁護士。早川氏は例によって穏やかな口調で謝罪し、詳しい説明は代理人弁護士よりなされた。6月29日に小笠原取締役らにより突然解任され、翌日、勝手に会社更生法を申請されてしまったこと、金融機関から一括弁済を迫られ、改めて民事再生法の申請に至ったことなど、これまでの経緯が語られ、再建に向けた今後のスケジュールなども説明された。"預かり金"などの返却を予定していたが、その前に会社更生を申請されたとしている。基本的には先の記者会見を踏襲・要約した内容で、具体的な再建へ向けた手法は報告されなかった。

死活と業務の差

 紛糾が予想された質疑応答も平穏に始まった。福岡東ザ・パークや福岡西の住民からの発言がほとんどで、「なぜ民事再生法なのか」「資金繰りは大丈夫か」といったものだったが、その過程でいくつかの矛盾が露呈し、早川氏は次第に追い詰められていくことになる。

 たとえば、修繕積立金の問題に関して、福岡東ザ・パークは全126戸のうち60戸が空き部屋で、そこが埋まるまでインベストが修繕積立金や管理費を補填することになっていたが、実際はインベストからまったく入金されていなかった。また、物件完成後3カ月を経過しても損害保険へ加入しておらず、住民らが手続をしなければならなかった。「後でするつもりだった、では通用しない」などと詰め寄られると、代理人弁護士から助け舟が出された。「早川さんは、本当に何とか返金したいと思っているんです」。

 こうした展開に債権者の怒りが爆発。「もう逃げられんぞ、覚悟しとけ!」と声を荒げた住民は、何度もインベストに足を運んだが、ついに早川氏との面談は叶わなかったという。購入者の怒りは、こうしたインベスト側の体質によるところも大きい。"ゴタゴタの最中"であった6月30日に入居してきた別の住民は、購入に際して、面前で営業担当者が早川氏と直接電話交渉し、付帯サービスの確約を取り付けたことで決断したが、何ひとつ履行されていないと話す。電話の相手が実際に早川氏だったかどうか確認する術は無いが、こうした社風は早川氏がつくってきたものにほかならない。

 怒りの矛先は代理人にも向かった。債権者によると、代理人が裁判所に提出した書類には事実と異なるものがあり、内容についてきちんと精査したのか甚だ疑問だという。また、代理人のなかに、マンション被害対策の組織に加盟する弁護士が含まれていることも分かり、閉会後、席につめ寄って「いくら貰ったんだ!」と面罵する事態となった。

弁護士の評価は志ではなく依頼人への貢献度で決まるため、弁護士にすると酷な発言だが、住民から見れば「手の内を教えている」という感情になるのも当然だろう。ただ、こうしたやり取りで明らかになったのは、住民が代理人を押し込んでいる形勢である。住民は先の書類や弁護士の肩書きのほか、6月30日の小笠原氏や早川氏の動向なども詳細に把握しており、素人なりに懸命に打開策を模索してきたに違いない。

一方、代理人団からは「法の壁」という言葉が再三聞かれ、8月28日の記者会見と比べると明らかに歯切れが悪かった。「あなたたちは仕事の一環だろうが、私たちは生活がかかっているのだ」とする住民の切実な思いとの差は明らかだった。

つづく


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