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日本最大の機関投資家・農林中金の巨額な「隠れ損失」(上) | 東京レポート
特別取材
2008年11月25日 11:02

 米国発金融危機で、政争の渦中に立たされたのが農林中央金庫(上野博史理事長)である。地域金融機関に対する公的資金の注入を可能にする金融機能強化法改正案をめぐり、国家審議が紛糾した。資本注入の対象となっている農林中金と傘下のJAバンク(農協)について、民主党が「政治的中立性の担保」を求めたのに対し、与党が「農協外しだ」と反発を強めたためだ。
 結局、選挙で農家の支持を失いかねないとして妥協が成立する見込みだが、その過程で、あぶり出されたのが農林中金の経営の問題点。農林中金は昔のような農協の総元締ではない。ハイリターンが期待できれば、ハイリスクな資金を出す日本最大の機関投資家だったのである。

巨額な農協マネー
 一般にはなじみがなかった農林中金が大変身するのは2002年1月のJAバンク法の施行から。農林中金、農協、信連(信用農業協同組合連合会)の個別の金融機関が「JAバンク」として1つの金融機関にリニューアルした。
 かつて農林中金の融資先は、雪印乳業(前身は北海道酪農協同組合)、ニチロ(現・マルハニチロホールディングス)など農水関連会社がほとんど。それが変貌するきっかけになったのが、住専(住宅金融専門会社)問題。
 バブル期に不動産融資にのめり込んだ住専7社に、信連(信用農業協同組合連合会)などの系統金融機関は5.5兆円貸し込んだ。これが回収不能になれば、全国の信連がバタバタ倒産してしまうピンチ。農協を救済するために税金が投入され、信連は5,300億円だけ放棄することで政治決着した。

 住専問題の反省から、セーフティネット(安全網)としてつくられたのが農林中金、信連、農協の系統金融機関を一体化させるJAバンク。「本店」が農林中金、都道府県レベルの「地域本部」が信連、市町村の「支店」が農協と理解すればわかりやすい。
 JAバンクになった結果、全体の運用資金110兆円、預金82兆円という「メガバンク」が誕生した。うち、農林中金の運用資金は61.0兆円、預金は38.8兆円だ(08年3月末)。
 農林中金は農林債券(ワリノー、リツノー)を販売して資金調達していたが、これも昔の話。農林中金の預金は主に信連や農林水産業に関連する企業、公共団体からのものだ。特に、農協に集まった貯金82兆円のうち33.8兆円が信連を通じて預けられている。農林中金の預金の87.1%が農協マネーだ。
 農林中金が巨大化したのは、農協が集めるJA貯金にある。JAバンクは、全国に張り巡らしたリテール網から潤沢な資金を集めているのだ。

機関投資家に変貌
 農協マネーを集めたのはいいが、溢れるばかりの資金の運用は農林中金にとって悩みの種。農林中金の役割は法律上「農林水産業への資金の提供」であるが、農業・漁業は衰退、企業からの資金需要も低い。となれば、有価証券で運用するしか手はない。
 農林中金は預金や農林債券の販売で調達した61.0兆円を何に運用しているか。株式や債券だ。有価証券投資は44.2兆円で、貸出金の9.8兆円を大きく上回る。02年までは貸出金のほうが多かったが、JAバンクになり、有価証券投資に大きく舵を切った。
 44.2兆円の有価証券投資がいかに巨大なものかは、巨大金融機関と比べるとわかる。日本生命保険の運用投資有価証券は34.0兆円、三菱UFJフィナンシャル・グループは40.8兆円(いずれも08年3月末)。農林中金の有価証券投資は、日生や三菱UFJをしのぐ。農林中金は日本最大の機関投資家に生まれ変わったのである。
 機関投資家に変貌した農林中金の投資戦略はハイリスク、ハイリターンへと質的に転換。米国発の金融危機で、投資構造の歪みが露わになった。(日下淳)

つづく

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