NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

特別取材

日本最大の機関投資家・農林中金の巨額な「隠れ損失」(下) | 東京レポート
特別取材
2008年11月26日 08:00

米住宅金融会社と一蓮托生の運命
 農林中金は09年3月期決算(単体ベース)の経常利益を、当初予想より71%減の1,000億円に大幅に下方修正した。世界的な金融危機の影響で、保有している株式や債券が下落し1,013億円の損失が出るためだ。問題は、その程度の損失でおさまるかだ。
 農林中金のサブプライムローン関連商品などを含めた証券化商品への投資残高は6兆8,230億円。3月末より7,823億円増え、市況の悪化で価格が下落し、810億円の損失が出た。これとは別に、米住宅金融会社である連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の住宅ローンを担保にした証券の保有残高が3兆4,568億円ある。売却や満期償還を迎えたことで3月末比、2兆1,758億円減少したが、それでも巨額投資は半端ではない。 

 米証券大手のリーマン・ブラザーズが破綻するほんの1週間前に、米国政府はファニーメイとフレディマックの両社に公的資金を注入する方針を発表。当面の破綻を回避した。しかし、米国政府が住宅債券の金額償還を保証したり、肩代わりするわけではない。両社が再建できなければ、住宅債券の保有者である金融機関に泣いてもらうしかない。死に体の米住宅金融機関と農林中金は一蓮托生の運命で結ばれた。農林中金は、いつ破裂するかわからない時限爆弾を抱えたのだ。

公的資金注入の準備
 農林中金は、貸出金が異常に少なく、有価証券の投資に偏っていることが公的資金の注入をめぐる論議の争点になった。本来の業務である農水産業への融資で損失を出したわけではない。投資銀行をマネた有価証券投資の失敗を税金で支える必要があるのか、という疑問。マネーゲームの尻拭いを税金でやるのかというわけだ。
 農林中金は、完全民営化によって建て前上は、役員は自主的に選出されることになっているが、経営トップは相変わらず農林水産省が押さえていることも槍玉に挙がった。
 農林中金の理事長は歴代、農水省事務次官出身者の指定席。上野博史理事長は、農水省事務次官退官後、外郭団体の農林漁業信用基金理事長を経て、00年6月に農林中金理事長に就任した。年俸4,080万円は、日銀総裁(3,500万円)より高い。「天下りの受け皿」を税金で救済するのか、という批判も強い。
 それでも、農林中金は公的資金注入の対象金融機関に組み込まれるだろう。住専問題のとき、農協を潰すわけにはいかないと税金が投入されたのとまるっきり同じ構図。農協票を握るJAパワーは政治には滅法強いのである。(日下淳)

関連記事

powered by weblio


特別取材一覧
特別取材
2011年6月24日 07:00
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル