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博多港特集・座談会1 福岡・九州の総合力を生かしアジアの港との協調に針路を(4)
特別取材
2009年4月 4日 08:00

博多港特集・座談会1 福岡・九州の総合力を生かしアジアの港との協調に針路を 昨年10月、博多港で水深15mのコンテナバースが供用を開始した。大型コンテナ船の寄港が始まり、既に整備されている世界水準の物流システムと併せて、博多港の高いポテンシャルが示された。一方で世界的には知名度が低く、釜山や上海など大型港との競合関係もある。こうした環境の中、博多港はこれからどのような役割を担っていくのか。その進むべき方向性をKBCラジオ番組パーソナリティなどとして活躍中の中村もとき氏の司会で、博多港ふ頭(株)代表取締役社長の江頭和彦氏、九州大学大学院経済学研究院教授の久野国夫氏、福岡ロジテム(株)顧問の賀来紀久男氏の3名に語り合っていただいた。

●世界に港のアピールを

久野 
 大学の研究プロジェクトで道州制も絡めて九州経済圏について検討したことがあります。その時の考え方は、東京と九州、と見るのではなく、福岡とソウル、福岡と大連といった見方で見ればこれまでと違う政策メニューが出てくるのではないか、それが道州制にもつながるのではないか、というものでした。この考え方でいけば、博多港と釜山港という関係では、いい意味での分担関係が構築できるのではないでしょうか? 例えば、物流処理能力では圧倒的に釜山が大きいのですが、観光などの人の流れでは博多は特色のある取り組みをしています。互いにいいところを生かすようなメニューがありうると思います。

中村 
 博多港の存在は国際的、あるいはアジアの中で知られているのでしょうか?

江頭 
 ほとんど知られていない、というのが現実ではないでしょうか。博多港の歴史は110年ですが、いわゆる近代港湾としてコンテナ船が入るようになったのは、この30年ほどのことです。それまでは外国貿易はほとんどなかったのです。

中村 
 まだ若いんですね。

江頭 
 余談ですが、博多港という名前と福岡という都市名が一致していないことが、海外の人にとってはわかりにくいという面もあるようです。港湾関係者の中には「博多市」と言ってしまう人もあるようですし。

中村 
 いっそのこと博多市にしちゃいましょうか(笑い)。

江頭 
 まあ、慣れれば問題ないのでしょうが、慣れていただくためには世界の船会社に「博多港には荷物があります、立派な施設があります、日本一の立派な作業をする人たちが働いています、ストライキもありません」といった売り込みをしなければなりません。

中村 
 博多港の貨物の現状は?

江頭 
 この数年は毎年5~8%の伸びを続けていましたが、昨年はサブプライムローンに端を発する世界的な金融ショックの影響で少しダウンしました。11月に大きく下がったのですが、これは日本全国同じ状況です。それが尾を引いていますが、博多港の場合は生活港湾ですから他の港ほどは影響を受けていません。今年1月は対前年でマイナス2%くらいですが、私の実感ではもう少しマイナスかなという印象もあります。ただ、それでもマイナス10%まではいっていないと思いますが、世界の港では軒並み20%以上下がっています。博多港は、世界的な経済危機の影響はゼロではありませんが、だからといって船が来なくなるというような、やわな港ではありません。

中村 
 そもそも、よい港、というのはどのような港を言うのでしょう?

江頭 
 まず、背後に多くの荷主を持っている港です。かつ船が着いたら、いつでも仕事ができて早く岸壁から離れることができるサービスが整っていることです。博多港はハードだけではなく、荷役システムを担うオペレーションは間違いなく世界のトップクラスと思っています。

●自動車関連の連携視野に

久野 
 例えば中国東北部の巨大な市場を見た場合、釜山、大連、博多なども連携や役割分担は考えられないでしょうか?

江頭 
 博多港における中国のウエイトは4~5割くらいあって、現在の状況は全体的に落ちている中でも堅調です。大連等の華北とは家具や食料品などが動いています。博多港は生活物資にとどまらず、いろんな分野を持つことが将来の力になるという考えで、中国・広州のモーターショーに私たちも2年続けて出展しました。広州は100万台規模の自動車産業の集積があり、日本の各メーカーも拠点を置いています。九州も150万台規模で同じように各社が工場などを置いています。自動車の完成車はコンテナに載ることはありませんが、部品関係は九州と広州の間でこれからかなり動く可能性があります。そこでわれわれもトライしているのです。自動車生産は現在、縮小傾向ですが、車種やエリアによっては早めに回復する可能性もあります。今のうちにしっかりと売り込んで、博多港の強みであるIT情報システムの活用を武器に、利用を促進したいと考えています。

久野 
 日韓貿易を見ると日本が黒字です。これは韓国の自動車産業向けに日本から部品が大量に輸出されていることがひとつの要因となっています。このように、日本、特に博多港の場合は背後にある産業の強さを生かして「何でもそろう」という総合力があり、これからの大きな力になるでしょう。釜山や大連にはそうした背景はありませんからね。

つづく

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