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特別取材

倒産を追う (株)イケガミ(下)
特別取材
2009年4月17日 13:38

取引先も社員も困惑させたモラル欠如の倒産劇に非難集まる

(株)イケガミ
代 表:池上 邦俊
所在地:福岡市東区多の津1-4-6
設 立:1973年2月
資本金:3,000万円
年 商:(08/3)17億890万円

<自分本位の謗りを免れることはできない>
 イケガミは同族企業である。池上邦俊氏は、社団法人・福岡県中小企業経営者協会の副会長を務めた人物。同社の役員構成は、この邦俊社長と妻の和衣氏、長男で後継者と目されていた慎太郎氏、社長の従兄弟で専務の池上繁利氏、常務で内部の管理を行なっていた山本茂樹氏である。和衣氏は非常勤であり、専務の繁利氏は関係会社である㈲九装(本社:鹿児島)の社長、常務の山本氏は最近、病気療養中だったと聞かれており、実質的な経営の舵取りは社長と実子の慎太郎氏が行なっていた。
 破綻当日の社員に対する指示も、慎太郎氏から行なわれていたようだ。だが、社員はいきなり会社の倒産を告げられ、取引先からひっきりなしに電話がかかってくるなか、社長はもとより慎太郎氏ともまともに連絡が取れず、対応に苦慮していたようだ。  破綻当日、午後6時の社員への説明が中止となり、最終的に社員への説明がなされたのは翌週4月6日の午後のことだった。破綻の1週間前から会社に出てこなかった社長が現れ、「破産の方向だったが、スポンサーがつく可能性があり、民事再生法に切り替わるかもしれない」という旨を社員に告げたという。どこまで本気で民生法を検討したのか分からないが、実際にはとても再生を目指すような経営内容ではなかったはずだ。
 倒産に際しての取引先への対応、社員への対応を聞く限り、池上社長と慎太郎氏の振る舞いは「自分本位」との謗りを免れることはできないだろう。今回の取材過程で「取引先に迷惑をかけて申し訳ない」とか「社員につらい思いをさせた」という、経営者なら当然の悔恨を感じることはなかった。むしろ現場を預かる社員のほうが、取引先に対して迷惑をかけた責任を感じていたように思えた。社員からの信任が厚かった専務の繁利氏は破綻翌日の4月1日に病死したという。同氏は倒産間際まで社長を信じて同社のために尽力していたと聞かれており、その無念さは計り知れない。

<後味の悪いモラル欠如の倒産劇>
 ここ1年の同社は資金繰りに追われ続けていたようだ。手形操作を含めて、かなり無理な資金繰りをしていた印象が強い。経営の先行きを案じ、あっさりと民生法を申請するのがいいとは思わないが、同社の場合は明らかに最終的な経営判断を誤った。なりふり構わぬ延命策が被害を拡大し、社員、取引先の多くを不幸に陥れた。詳細は省くが、取材のなかでモラルが欠如しているとしか考えられない話もあり、「池上社長と慎太郎氏は、取引先や社員に迷惑をかけたことなどなんとも思っていないのではないか」との印象を最後まで拭い去ることができなかった。中小企業の経営者は同社の倒産を反面教師とするべきだろうし、企業経営の意味を今一度考えてもらいたい。このような倒産劇が今後は起きないことを切に願う。(了)

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