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特別取材

ニジェール奮闘記(3)~世界で一番貧しい国から~
特別取材
2009年7月22日 16:31

3.言葉の壁

 ニジェールに到着した私は、ザルマ族という人々と一緒に生活するようになった。ザルマ族は、ニジェール川の川沿いに住む農耕民である。そこでは、「MATE NI KANI (マテ ニ カニ)?」と言えば、「よく眠れたか?」という朝の挨拶。イスラム教の国なので、アラビア語の挨拶も使われる。代表的な挨拶「As-salaamu alaykum(アッサラームアライクム)」は、「あなた方の上に平和がありますように」という意味である。この言葉は一日中どんな時でも使われる。出会いも別れも同じ挨拶なので、日本人にはちょっと不思議な感覚である。
 田舎に行くとフランス語はほとんど通じなくなる。かろうじて通じるのは、商売をやっている人や学校の先生ぐらい。私は現地の語学訓練でフランス語もままならないうちに現地語を勉強したのだが、実際入ってみるとその現地語も通じない。どうやら方言があるらしい。始めのうちは、現地語のテキストを読みながら会話を進めていた。語学に関する苦労は、海外で生活する日本人共通の悩みだ。
 語学の最も早い習得方法は、とにかく喋ることに限る。覚えた単語を積極的に使うのが一番の近道である。たとえば市場に買い物に行くとする。日本のように値段が貼られていることはまずないので、「このトマトいくら?」と聞くところから交渉がスタートする。ところが、商売人は外国人がお金を持っているのを知っているので、原価の10倍近い金額でふっかけてくる。私は、食品はだいたい言い値の3割ぐらいが相場だと知っているので、「このキャベツ500円」と言われれば「150円で買えるな」と考える。そうして、あれこれと交渉をしながら値段を下げていくのだが、こうした日常会話の積み重ねの中で言葉を覚えていくのだ。ちなみに、海外を旅行すると土産物に値段が付けられていないことがあるので、最初は店員の言い値を疑ってみたほうがよい。
 また、私の場合は、先輩隊員から紹介された家庭教師を週に1回雇って、フランス語で現地語を教えてもらっていた。自分でお金を払うことで、勉強せざるを得ない環境を作り出すのである。私の家庭教師は給料が安いからと小学校の校長を辞めて大学で勉強をしていたような人で、卒業後は高校の歴史とフランス語の先生になるそうである。貸したお金を返さなかったり、少々時間にルーズなことを除けば、極めて優秀な人だった。
 ニジェール人はどうやってフランス語を勉強するのだろうか。ニジェールの公用語はフランス語だが、日本で日本語の次に英語というように、現地語の次にフランス語を勉強するわけではない。多くのアフリカ諸国は多民族国家である。まず始めにその国で最も多く話されている現地語を覚える。ニジェールで最も多く使われている現地語はハウサ語。第2位はザルマ語。よって、ハウサ語とザルマ語が喋れればニジェールでは十分に生活できるので、無理にフランス語を勉強する必要はない。しかし、文書を作成する立場にある商売人や公務員などの政府関係者は、フランス語を習得する必要がある。公職に就くニジェール人は、ハウサ語、ザルマ語、フランス語と、3つの言語を器用に使い分ける。まれにだが、英語を話せる人もいる。
 世界は多言語社会であると感じる。

近所の子供たち
近所の子供たち

~つづく~

【廣瀬】


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