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特別取材

ニジェール奮闘記(4)~世界で一番貧しい国から~
特別取材
2009年7月23日 08:15

4.ニジェールとイスラム教

 私が生活していた家から30メートルほど先に、モスクといわれるイスラム教の寺院があった。毎日6時、14時、16時、18時、20時と、合計5回のお祈りがスピーカーから流れる。その時間になると、村人は、モスクに行ってお祈りをする。「アッラーフアクバル」と唱えながら額を地べたにつける。お祈りが終わるとニジェール人の額には砂が少し付いていて、「砂付いてるよ」と指摘すると笑いながらはたく。ニジェール人は他のイスラムの国の人々に比べ、真面目にお祈りをするそうである。なぜお祈りをするのかを尋ねたら、「明日もし死ぬことがあっても天国に行けるように」と答えてくれた。
ニジェールはイスラム教の国である。しかし、日本人にとってイスラム教は馴染みが薄い。あるとしても、テレビで流れる自爆テロやウサマ・ビンラディン、厳しい戒律があるなど、あまりいいイメージは持たれていないようだ。
 イスラム教では、砂漠という過酷な環境を生きるために多くの決まりごとがある。たとえば、豚肉を食べてはいけない、アルコールを飲んではいけない、断食月(ラマダーン)がある、一夫多妻制などである。
実際はどうなのか。イスラム教国ニジェールには地ビールがあり、焼鳥屋ならぬ串焼き肉の店で多くのニジェール人がビールを飲んでいる。さすがにニジェール人から豚肉を食べたという話を聞いたことはないが、知り合いの日本人が雇っている料理人はトンカツを揚げていた。さらにもし食べたとしても、それが豚肉だと知らなければOKだそうである。なぜ豚肉を食べてはいけないのかも尋ねてみたが、「豚は不浄である」というほか、「昔イスラム教の成人が川を渡るときに豚が助けてくれたから」とか、「油多いだろ、体に悪いから」とか、「人肉に味が似ている」とか様々な回答が返ってきた。
 イスラム教の特徴の一つに、断食月があることがある。1ヵ月間、日の出から日没まで食事・水を一切取らない。敬虔な人になると唾も飲みこまない。日本人にとってみればなんてひどい行事、と思いがちだが、ニジェール人にとってはこの期間はお祭りである。日中食べない分、夜にはいつもより食事が一品増えて豪華になる。また、女性はふだん入れないモスクにも入れるようになる。砂糖や食事がいろいろなところで振舞われる。ちなみに、すべての人が断食を義務付けられているわけではなく、12歳以下の子どもや妊婦、高齢者、病人、それと私のような外国人は食事をしてよいことになっている。とはいっても断食をしている人の目の前で食事をするというわけにはいかないので、昼間食事をするときはこっそり食べることになる。
 ではなぜ断食をするのか。イスラム教のすべての信者が断食という苦行をすることで連帯感をもつことや、食べ物に対する感謝を感じるためであるという。また、断食が終わると盛大なお祭りが行なわれる。広場に村人全員が集まってお祈りを捧げたり、食事が豪華になったりするほか、日本のお正月のように、着飾った女の子が家を回ってお年玉を要求するという風習まである。
 イスラム教は一夫多妻制でもある。一人の男性が4人の妻を持つことができるという。これは厳しい環境の中で一人でも多くの子どもを作り、将来に備えることを目的としている。しかし、庶民が4人もの奥さんを持つのは難しい。二人ぐらいが相場だそうだ。とあるニジェール人男性に聞くと、「奥さんは多いほうがいい。でもお金がないから一人しかいないんだ」という。それと、奥さんが多いとそれだけ問題も多くなるそうである。
 全ての人が、イスラム教の戒律にがんじがらめにされているというわけではない。国の状況に応じて変わっているのである。

イスラム教のモスク
イスラム教のモスク

~つづく~

【廣瀬】

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