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特別取材

ニジェール奮闘記(5)~世界で一番貧しい国から~
特別取材
2009年7月28日 08:00

5.マラリア
 ニジェールには危険な風土病がいくつかある。今回はそのうちの一つ、マラリアについて説明する。

<マラリア>
 マラリアという病名を聞いたことがあるだろうか?
090727_nijel_5.jpg
 マラリアは蚊を媒体してかかる病気である。マラリアに発症したまま高熱が続き、3日以上適切な治療を受けないと、死に至る危険性のある大変危険な病気である。ニジェール人の死因ナンバーワンがこの病気である。
 原因はマラリアの原虫を持つハマダラ蚊に刺されることなのだが、その確率は1,000分の1。確率上は1,000匹以上蚊に刺されるとマラリアが発症することになる。そんなに何匹もの蚊に刺されることはないが、蚊は年中生息しているので常に注意が必要である。私の住んでいた村はニジェール川沿いにあり、増水する1月が最も蚊の多い時期だった。特に明け方に蚊が多く、何十匹もの蚊の羽音で目が覚めたことが何度もある。
 ちなみに、とんちの一休さんや平清盛もマラリアで亡くなったと伝えられている。現在、日本ではハマダラ蚊は撲滅されているため、マラリアにかかる心配はないのでご安心を。
 マラリアを防ぐにはどうすればよいのか。第一に蚊に刺されないことだが、それは少々無理がある。夜間の外出の際に虫除けスプレーをかけたり、蚊取り線香をたいたり、靴で出歩くなど刺されないための努力をまず行なうことが必要である。また、就寝の際には蚊帳のなかに入って寝ることも重要である。
マラリアは黄熱病や日本脳炎のようにワクチンがないので、予防薬の服用が一般的である。私は『サバリン』という薬を毎日飲んでいた。薬にもいろいろな種類があり、週に1度飲むだけのものもある。内服薬は副作用が強く、私は空腹時に飲んでしまって一日気分が悪かったこともあったし、食後に飲んだとしても半日動けなかったりもした。朝飲むと、その日一日の行動に支障をきたすときもあるので、寝る前に飲む人もいた。寝る前に飲んで悪夢を見たという人もいた。だが、ある程度慣れてくると副作用も感じなくなる。
 大西洋沿岸部のガーナやベナンでは、ニジェールで飲んでいるマラリア内服薬の効き目がない蚊もいるので、さらに副作用の強い薬の処方がすすめられているようである。湿地帯の多いベナンでは、協力隊隊員の7割がマラリアにかかるそうである。ちなみに、マラリアに一度でもかかると一生献血できなくなる。私は幸いにしてマラリアにかからなかったので献血はできるが、アフリカに渡航経験のある人は向こう3年間は献血できない。
 ニジェール人もよくマラリアにかかるが、成人男性になると幼いころから耐性が付いているので死に至ることは少ない。子どもとお年寄り、妊婦などの弱者がマラリアにかかると大変危険である。所得の少ないニジェール人は、薬や病院での手当てを受けにくい。そのため、「蚊帳を購入し、なかに入って寝るように」などのマラリア予防の指導を専門的に行なっている隊員が多く、私も実際にマラリア対策の仕事をした時期もあった。ニジェール人にアンケートをとったところ、マラリア予防のための蚊帳を持っている人の割合は半分だった。現在、JICA(国際協力機構)のマラリア対策プロジェクトがニジェールに入っており、対策を進めているところである。

~つづく~

【廣瀬】

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