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特別取材

【特別寄稿】オバマ大統領の環境エネルギー政策と日本の技術力(2)
特別取材
2009年7月 3日 08:00
国際未来科学研究所代表 浜田 和幸

 ホルドレン博士はそのユニークな発想で、アメリカの中でも異色の存在感を示してきた人物である。いわゆる「宇宙時代の政権作り」という考えを主張しており、地球上の個別の国家の持つ主権にこだわらず、「世界の共通政府を作ろう」という発想をこれまでいたるところで語ってきている。

 地球全体を対象にした課税システムや世界人口の膨張を防ぐための人口抑制策に関しても独自の見解を表明しており、必要に応じて女性の強制的な堕胎も正当化されるべきだとの考えを述べている。見方によっては極めて過激、というより相当に危険な思想の持ち主と言うこともできそうだ。

 現在、ホルドレン博士はハーバード大学のケネディ行政大学院において環境政策を担当する教授職にある。同教授の下で育った研究者はアメリカや世界の環境政策に関する政府機関や国際機関で幅広く活躍していると言われる。また、同教授はジョン・D・アンド・キャサリン・T・マッカーサー財団の理事会の役員として14年以上にわたり、政治的な役割も積極的に果たしている。これまで革新的あるいは極左と分類されるような研究者や民間の諸団体に対してもマッカーサー財団の潤沢な研究資金を大胆な発想から提供してきた。

 また、パグワッシュ財団の役員としても知られる存在で、旧チェコスロバキアやポーランドの共産党の指導者や冷戦時代のソ連陣営の原子力分野の研究者たちとの交流にも深いものがあった。ホルドレン教授はハーバードの教授職にありながら、投資家の要望に応え、今後値上がりが想定される稀少金属について自らの考えを率直に表明することも度々あった。

 そのため、同僚の科学者たちからは懐疑的に見られたり、批判を浴びることも多々あったようだが、本人はそのような「他人の目」には一向に動じないという強い姿勢を貫いている。ホルドレン博士が一躍有名になったのはアルバート・ゴア元副大統領が『不都合な真実』と題する書籍やドキュメンタリー映画を作った際に、科学アドバイザーとして深く係わったことが注目されたためである。

 とは言え、ゴア氏の著作や映像の中には他の科学者たちから見れば事実を歪めたり、無視した箇所が多数指摘されている。そのためイギリス政府は、同国内の小中学生には読んだり見たりすることを禁止する通達を出したほど。ホルドレン博士は「1986年に地球上を襲う二酸化炭素の影響で2020年までには10億人の人口が命を失うことになる」との予測も行っている。その後も同教授は基本的な見方を変えておらず、2007年の2月に発行された「ニューズ・ウィーク」誌のインタビュー記事の中でも、そうした最悪のシナリオの可能性に言及していた。

(つづく)


【浜田 和幸(はまだ かずゆき)略歴】
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1953年鳥取県生まれ。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学大学院にて政治学博士号を修得。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現在、国際未来科学研究所の代表。

専門は「技術と社会の未来予測」「国家と個人の安全保障」「長寿企業の戦略経営」。米ワシントン・ロータリー・クラブ米日友好委員長、発明王エジソン生誕150周年祝賀事業実行委員長、日本バイオベンチャー推進協会理事、国連大学ミレニアム・プロジェクト委員、特許庁工業所有権副読本選定普及委員、鳥取県公園都市推進事業委員などを歴任。

主な著書:ベストセラーとなった「ヘッジファンド」(文春新書)をはじめ、「知的未来学入門」(新潮選書)、「快人エジソン」(日本経済新聞社)、「たかられる大国・日本」(祥伝社)、「サイバーテロ」(PHP)、「ブッシュの終わりなき世界戦争」(講談社)、「通貨バトルロワイアル」(集英社)、「チャイナ・コントロール」(祥伝社)、「ウォーター・マネー」(光文社)、「エジソンの言葉」(大和書房)、「イラク戦争:日本の分け前」(光文社)、「悪魔の情報戦争」(ビジネス社)、「黒いホワイトハウス」(祥伝社)、「ハゲタカが嗤った日:リップルウッド=新生銀行の隠された真実」(集英社インターナショナル)など多数。最新刊は、「たかられる大国・日本」(祥伝社・黄金文庫)、「胡錦濤の反日行動計画」(祥伝社)。また、毎週月曜日の午前9時10分から「山陰放送(BSS)」にて「浜田和幸の世界情報探検隊」、午後2時40分から「ニッポン放送・テリー伊藤のってけラジオ」にて「浜田和幸の世界びっくりニュース」をOA。毎週火曜日午前7時からは、「文化放送・蟹瀬誠一ネクスト」のレギュラー・コメンテーターとして最新ニュースの裏側を解説している。

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