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特別取材

ニジェール奮闘記(14)~世界で一番貧しい国から~
特別取材
2009年8月31日 08:33

(14)賄賂社会
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 アフリカで生活していて感じるのは、世界には実に多くの民族がいるということである。ニジェールの代表的な民族は5つ。農耕民のハウサ族、ザルマ族、遊牧民のプール族、ボロロ族、トアレグ族である。民族によって言葉も違えば顔立ちも違う。初めのうちはわからないが、しだいに区別がつくようになる。ニジェールは比較的民族同士の対立は少なく、ザルマ族の男性がハウサ族の女性と結婚したり、プール族とザルマ族が同じ村で生活していたりする。
 それでも、ときにはいざこざは起きる。とある村での出来事だが、遊牧民が飼っていた家畜が、農耕民の畑の作物を食べた。農耕民は怒ったのだが、遊牧民はそれを反省しようとしない。それが裁判沙汰になった。ちなみに、ニジェール人はどんなことがあっても自分の非を認めない。たとえ自分が悪いことをしていたとしても謝らない。非を認めること、謝ることはすなわち自分の負けになり、謝ったこと以上の謝罪や賠償を求められるからだそうである。
 裁判が始まった。裁判といっても裁判所は大きな町にしかないので、裁判は現地でアミールと呼ばれる長老のもとで行われる。このアミールは昔でいう王様である。今でも立派な屋敷に住んでいる。そんな彼のもとで裁判が開かれた結果、驚くことに遊牧民側が勝った。どう考えても遊牧民側が悪いように思うのだが、後で話を聞いてみると、どうやら遊牧民がアミールに賄賂を渡していたそうである。
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 アフリカで賄賂は日常茶飯事である。よく警官が道に立ち、タクシーの運転手が運転免許証を持っているか無免許かどうか確認する。無免許で商売をやっている人が多いからである。また、トラックの荷重積載が日常茶飯事であるにもかかわらず、「ちょっと荷物が多すぎるんじゃないの」と難癖をつけることもある。そしてその場を逃れるために、運転手はいくらかのチップを払うことになる。そうすれば警官は見逃してくれるのだ。ちなみに賄賂の額はだいたい500Fcfa(フランセーファー)ほど、日本円で約100円。商売人が払えそうな額を狙ってくるのだ。ニジェールでやり取りされる賄賂贈与の総額はアフリカのなかでも上位に入る。何もない貧乏な国なのに、賄賂の額は大変多いのだ。
 さて、ここで疑問が生じるのだが、本当に彼ら自身が「賄賂」を「賄賂」であると思っているかどうかである。たしかに、ニジェールでは法で明確化された徴税機構が機能しているとは言い難い。ある大学教授とこの話題になったとき、「それは賄賂ではなく、贈与ではないのか」という意見をいただいた。確かに支払う方も受け取る方も「賄賂」であると認識していなければそれは賄賂ではない。しかし、警察や政治家といった権力者が、貧しいものから自分の権力を誇示してお金を取るというのは、人類共通の悪しき行いであるといえる。
 アフリカ諸国全体の国民総生産のおよそ25%が汚職で失われているという。このまま汚職がすすめば権力者と搾取される一般市民の差は広がるばかり。世界規模での汚職撲滅運動が必要である。

~つづく~

【廣瀬】

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